世界でいちばん空気がきれいな島、タスマニア州を紹介 ~エコナビ・オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!

タスマニア州の動物「タスマニアデビル」
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ひとつの国といえども、訪れる場所によって、まったく違う顔を見せるオーストラリア。それぞれの特徴を州ごとにわかりやすく、手短に紹介していくコラム・シリーズ『オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!』、第5回目は「タスマニア州」です!

タイトルはずばり!↓↓↓

原始の森に包まれた世界でいちばん空気がきれいな島 -タスマニア州-

日本でも大手スーパー等へいくと、「タスマニア産ビーフ」といったようなラベルを目にすることもあるのではないでしょうか?

オーストラリア国内では、唯一孤立した『島』でもあるタスマニア州。お隣は南極というロケーションですから、オーロラだって見えちゃいます!!

タスマニア州は、国内でもひときわ厳しい独自の農業規制基準を設け、安心で質の高い農産物を作ったり、島内の電力の大部分を水力発電で賄うなど、タスマニアならではのエコで素晴らしい取り組みがたくさんあります。

そんな取り組みをいくつかご紹介しながら、気候や生態系などに触れ、州の特徴が手軽にわかるようにまとめてみました。オーストラリア国内の他の州とは違うタスマニア州の“すごさ”がよくわかるコラムになっていると思います。(自画自賛w)

このコラムを読めば、最後の氷河期には本土と繋がっていた名残を探しに、あなたもきっとタスマニアへ出かけてみたくなるはずです!?

原始の森に包まれた世界でいちばん空気がきれいな島-タスマニア州-

原始の森に包まれた世界でいちばん空気がきれいな島-タスマニア州-

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住18年。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

オーストラリアの台所!食の宝庫、ビクトリア州を紹介 ~エコナビ・オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!

コンパクトな地の利と多様な環境が育む‘食の宝庫’-ビクトリア州-
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環境情報サイト「エコナビ」で連載中の『オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!』にて、食の宝庫ともいえるビクトリア州を紹介しました!

オーストラリア本土側では最も小さい州であり、国土のわずか3%程度に過ぎないエリアながら、温帯の海洋性から地中海性、さらには、乾燥したステップ気候といった、異なる気候が生み出す豊かな環境に恵まれたビクトリア州。

短い期間でも山から海まで一通りの体験ができるコンパクトな立地なうえ、オーストラリアの台所ともいえる豊富な農産物や海産物が楽しみな州でもあります。

オーストラリアのいいところを凝縮したようなビクトリア州の特徴と魅力が伝われば幸いです♪

※実はこっそり「ビクトリア州政府観光局の日本語サイト」の主なページのライティングを担当させていただいています。テヘッ(=´∀`)

コンパクトな地の利と多様な環境が育む‘食の宝庫’ -ビクトリア州-

コンパクトな地の利と多様な環境が育む‘食の宝庫’-ビクトリア州-

コンパクトな地の利と多様な環境が育む‘食の宝庫’-ビクトリア州-

今回で三回目となる『オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!』シリーズでは、オーストラリア各州の特徴をわかりやすく、手短につかんでいただけたらと思いながら筆を進めています。

この後も、タスマニア州、南オーストラリア州、西オーストラリア州、ノーザンテリトリー(順不同)と続きますので、乞うご期待!?

images: © Visit Victoria / 無断転載不可

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野球では食っていけない!?オーストラリアの野球事情とWBC

シドニー五輪時の野球の試合会場
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3月7日より、野球世界一を決めるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)2017が開幕した。

4年に一度の頂上決戦の大舞台へ、オーストラリアは予選を勝ち抜いて一次ラウンド出場権を獲得。日本と同グループ、プールBでの対戦が決まった。

オーストラリアでは、けっしてポピュラーなスポーツとは言えない野球。

選手のほとんどが本職を別に持つセミ・プロなのに、五輪アテネ大会では、日本を2度も破り、銀メダルを獲得するなど、ちょっと侮れないチームなのだ。

 

WBC 2017オーストラリア vs日本

昨日8日、オーストラリアは今大会初戦で、いきなり強豪・日本と激突!

先制ホームランでリードしたものの、1-4で敗れた、、、が、内容そのものはそれほど悪いとはいえない。

先発した日本のエース・菅野には、ヒットこそなかなかでないものの、割とタイミングもあっていて、4回と5回に得点圏へランナーを進めた。

もし、大会規定の投球数制限がなく、そのまま菅野が続投していたら、あと1、2点は入っていたかもしれないし、逆にオーストラリアの先発アサートンにも手こずっていた日本が、投球数制限もあって投手交代となり、それまで抑えられていたのが当たり始めて、流れを掴んだようなところもなきしもあらず。

しかも、今大会の一次ラウンドのプールBの組み合わせでは、オーストラリアと中国は3連戦となっており、「投手の連投は2日間まで」という大会規制のため、思うように投手を使えないジレンマがある。

日本やキューバのように中日(なかび)があれば、ディーブル監督ももっと違う試合の組み立てができたはずだ。

そう考えると、オーストラリアにとっては強豪・日本と同組に入ってしまっただけでなく、試合日程が非常に不利な大会ともいえる。

そんな冷たい仕打ちを浴びながら(?)、自国ではマイナーなスポーツを薄給で一生懸命プレーするオージー軍団。
なんとか本戦に行かせてあげたい!じゃないですか。。。

 

野球では食って行けないオーストラリア

はっきり言おう。

野球は、スポーツ大国オーストラリアでは驚くほどマイナーなスポーツだ!

2010年にMLBの支援を受けて本格的なプロ野球リーグが発足したとはいえ(その前にも似たようなものがあったが、財政難で休止に追い込まれた)、選手のほとんどは本職を別に持つ二足のわらじで、仕事があるため、試合は基本的に、金土日の週末のみ。

※稀に、祝祭日やクリスマス&年末年始などの休暇シーズンには木曜日などに試合があることもある。

プロと言っても、選手たちの平均報酬は週300豪ドル(約27,000円)にも満たない。ほとんどが月給にすると約1,000豪ドル(約90,000円)程度だという。これだと、一試合当たり貰えるのは1万円前後のお小遣い程度にしかならない。

明らかに一般的な日本のサラリーマンより待遇が悪い。しかも、日本より物価の高いオーストラリアでこの給料ではとてもじゃないが、食べていけない。

だから、選手たちは、消防士や工場勤務などをしながら野球を続けるしかないのが実情なのだ。そう、それはまるで、クラブ活動か趣味でやっている草野球のように…

今回のWBC出場のために選出された選手たちのほとんどは、こうした国内リーグ所属の選手だ。

だからこそ、野球を国内で認知させるためにも、本大会へ出場し、いい活躍をして、メジャーリーグや日本などのプロ野球界に目をつけてもらえるような場にしてあげたいじゃないの!

それに、年俸何千万円とか何億円ももらう日本のプロ野球の一流選手を相手に、草野球レベルのオージー軍団がわずか4点しかとられていないのだ。世界にもっと一泡吹かせてやりたいじゃないですか。

 

野球はなぜオーストラリアで人気がないのか?

五輪で銀メダルとっても、オーストラリア国内では、ほとんど見向きもされなかった野球というスポーツ。

なぜそんなにマイナーで人気がないのかといえば、いくつか理由がある。

そのひとつは、よく言われるように「他に強いスポーツがいくつもあるから」。確かに、オーストラリアはラグビーやクリケット、豪国内独自のオージー・フットボールなどがあり、どれも大変な人気だ。

※ラグビーについては、日本人が思うラグビーと若干違っていると思うので、こちらをご参照ください。

野球と並んでマイナーなスポーツと言われ続けてきたサッカーでさえ、プロリーグが発足し、順調にファンやプレー人口を増やしている。

それなのに、野球ときたら、いつまでたってもとんと冴えない。。。

それは、オージーのアメリカ・アレルギーにも一因があるようなのだ。
実はオージーは、アメリカ嫌いが多い(笑)

昨日もWBCで戦うオーストラリア代表に対し、こんなご意見が・・・

 
まあ、こんなにあからさまな人は珍しいけれど、アメリカをあんまりよく思ってない人は意外と多い。

その証拠に、スターバックスやアバクロなど、アメリカの有名企業がオーストラリアへ進出しても、ことごとく叩きのめされて(利用者や販売数が少なく経営不振に陥る)、追い出してしまったりする。
注意)IT企業はこの限りではありません。

そんなわけで、野球=アメリカ発祥のスポーツ、というイメージから、なかなか根付かないところもありそうなのだ。

ともあれ、オーストラリアで野球が人気のスポーツになれば、身体的能力の高い人材がいっぱいいるから、すごいチームになりそう。

ちなみに、スポーツのオーストラリア代表チームには、例えば、サッカーなら「サッカルーズ」、ホッケーなら「クッカバラズ」といった愛称がついているのだけれど、一応、野球チームにも愛称がついている。

その名は、「サザン・サンダー」。

直訳すれば「南の雷」、南からやって来て雷のように一撃するぜ!という心意気が込められている。
がんばれ、オージー雷軍団!!!

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自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住18年。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

取り残された戦士 ~知られざるブルーム空襲と先住民が守る零戦パイロットの墓

真珠の町ブルーム
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2017年3月3日、西オーストラリア州北部のブルームは旧日本軍による空襲から75年目を迎える。

3月2日から3日にかけて、ブルームでは「Remembering the Broome Air Raid after 75 years」として、ささやかな催し物と式典が開かれる予定だ。

歴史の奥深くに埋もれたままの『旧日本軍によるオーストラリア空襲』。

1942年から1943年にかけて行われた一連の攻撃は、沖合の島などを含めると少なくとも97回にも及ぶ。

 

隠されたブルーム空襲

1941年、3月3日。ダーウィンの西約1,100kmの小さな海辺の町ブルームが、旧日本軍による空襲を受け、連合軍側88名、日本側1名が死亡した。2月19日のダーウィン空襲から12日後のことである。

当時、ブルームは真珠で栄えた小さな町であったが、戦争拡大でオランダ領東インド諸島からオーストラリア本土への避難ルートとなっており、民間人と共に連合軍の軍関係者も輸送されてきていたため、攻撃対象になったとされる。

ブルームへの空襲はダーウィンに次いで被害が大きく、連合軍側の22機が撃墜され、ローバック湾などに停泊していた輸送飛行艇15機が沈められた。この攻撃で88名が死亡、負傷者多数。日本側も2機が撃墜され、1名が死亡したと記録されている。

連合軍側の犠牲者のほとんどはオランダ民間人の女性や子供達で、名前が判る者は少なく、性別や年齢の判別は困難で、正確な数はわかっていない。わかっているのは、名前のわからない犠牲者の中には9名の子供が含まれており、最年少は1歳程度の乳児であったこと……

※実は2月20日と21日にも、西オーストラリア北部へ爆撃が行われたが、幸い人的被害は怪我人のみだった。

 
こうした事実は、日本ではほとんど知られておらず、そもそも日本とオーストラリアが戦ったことを知る人すら少ないのは本当に残念なことだけれど、オーストラリア国内においても、ブルーム空襲については、先のダーウィンよりもさらに知られていないのが現状だ。

その理由は、ブルーム歴史協会のディオン・マリニス氏の言葉に痛いほど現れている。

「これは、私たちにとってのパールハーバー(真珠湾攻撃)です。しかし、政府はこの事実を口外することでパニックになることを恐れたのです。」
Pearl Harbor anniversary a reminder of Broome WWII attacks

つまり、民衆がパニックになることを恐れた政府の隠蔽か――
どこの国でも、こうしたことがあからさまに行われてきたことを実感せざるをえない。

 

ブルーム上空で撃墜された日本人パイロットの墓

昨年5月、私はオーストラリア政府観光局主催のツーリズム・トレードショーに参加させてもらった際、ブルーム近郊でツアー会社を営むアボリジニのおじさんから興味深い話を聞いたのだった。

それは、ブルームに眠る日本兵の墓――

第二次世界大戦中、旧日本軍がブルームを攻撃した際、零戦が撃墜され、パイロットは(落下傘で?)脱出した。後日、地元のアボリジニの人たちが、マングローブの木に落下傘が引っ掛かっているのを発見。傍に倒れていた人物は既に息絶えていたため、アボリジニの人たちが近くに埋葬し、それ以降、日本人の墓として70年以上見守り続けている――

というのだ。アボリジニのおじさんは、さらに力強くまくしたてる。

「これは、日本人が絶対に知らなきゃならないことだ。墓の場所はもろく、崩れかけている。ようやく先日、日本政府が調査に来たが、もっときちんと確認して、できれば日本に帰してあげて欲しい。」

最初聞いた時は、ブルームにある「日本人墓地」のことかと思ったのだが、よく聞くとそうではないらしい。昔から世界有数の真珠貝産地だったブルームには、日本からも明治の頃より真珠ダイバーとして多くの移民が渡ったため、日本人墓地があるので、そこのことかと思ったが違った。

とにかく、ブルームに日本の戦士が眠っていることを日本人が知らなければならない!と、何度も聞かされたことが頭を離れず、自宅に戻ってから調べてみると、確かにおじさんが言った通り、その年の(2016年)3月に、ブルームに日本の厚生労働省が調査に入ったことがわかった。(参考

豪ABCの記事には、ブルーム攻撃で撃墜された零戦パイロットの工藤修中尉(最終階級)の可能性があると書かれていた。ただ、誰も工藤氏の零戦が墜落する瞬間をきちんと見た者はいないのだそうだ。

それでも、発見した地元のアボリジニの人たちは、「日本人パイロットの墓」として、見守り続けてきた。

アボリジニの人々も地元の歴史家も、崩れそうなその墓について、日本政府がきちんと予算をとって調査し、埋葬されているのが本当に工藤氏なのかどうか、DNA鑑定などでしっかり確認して欲しいと口を揃える。

 
神秘的な自然現象「月への階段」で知られ、今となっては国内屈指の人気リゾート地となったブルームの知られざる過去。

日本人にとっては、明治の頃から移民した方々が多い縁の深い地でありながら、そうした事実もあまり知られていないのは、なんとも寂しく、悲しい気持ちになるのだった・・・

昨年、厚生労働省が調査に入った時期とほぼ時を同じくして、「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案」が可決し、4月に施行。その後、5月には「戦没者の遺骨収集の推進に関する基本的な計画」が閣議決定したそうだから、ブルームのこの件も今後の進展に期待したい。

 

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もうひとつのパールハーバー ~知られざるダーウィン空襲/日本に攻撃されたオーストラリア

ダーウィン港(ポート・ダーウィン)
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1942年2月19日。ハワイ真珠湾攻撃から約2か月後、オーストラリア北部の港町ダーウィンは、旧日本軍による大規模な空襲を受けた。

このことを知る日本人は、どれくらいいるのだろうか?

この日以降、ダーウィンだけで64回、それ以外にもブルームやキャサリン、タウンズビル、モスマンなどのオーストラリア北部の町へ、日本軍による空襲が行われたが、この事実はほとんど知られていない。

2017年2月19日、ダーウィンは空襲から75年目を迎える。

75年の節目を迎えるに当たり、ノーザンテリトリー準州政府は昨年より「The Territory Remembers 75 Years」という一大キャンペーンを展開。また今年は、ダーウィン沖で連合軍(主に豪軍)によって沈められ、乗組員80名全員が死亡したとされる日本軍の潜水艦「伊124号」の追悼慰霊のための銘板を設置。メインの式典に先駆け、17日に除幕式が行われた(参照1, 参照2)。

戦争に参加した元兵士ら、当事者が高齢化し、その大半が他界されている現状では、真の歴史を語り継いでいくのは、ますます困難となるだろう。

ダーウィン空襲をはじめとする日本軍によるオーストラリア攻撃については、日本でほとんど知られていないばかりか、当地オーストラリアにおいても学校教育で省かれてきた現実がある。

歴史を風化させないためにも、「もうひとつのパールハーバー」と言われる『ダーウィン空襲』について、ここでもう一度ざっくりと確認しておきたいと思う。

 

なぜ、ダーウィンが攻撃対象となったのか?

シンガポール陥落後、旧日本軍が行った一連の空襲の目的は、退却した連合国軍が拠点としたオーストラリア北部の軍事基地機能を破壊し、補給路を断ち、反撃に出ないようにするため…とされている。

その最大拠点がダーウィンであり、最初の攻撃対象となった。

※ちなみに、シンガポール陥落は2月15日。

 

以下で、あの日のダーウィンの様子をオーストラリア側に残る記録を基に振り返ってみたい。

 

1942年2月19日、ダーウィンで何が起きたのか?

じとじとしたモンスーン気候特有の湿った空気が、体全体にまとわりつく雨季のオーストラリア北部。ダーウィン沖のバサースト島に赴任していたマクグラー神父が、じわりと滲み出る汗を大判のタオルで拭きながら、ふと時計を見ると、午前9時30分をまわったところだった。

9時35分。

海上監視役も担っていたマクグラー神父がいつもように海を見渡していると、多数の航空機が南に向かって飛行していくのを目撃。すぐさま、足踏み式ラジオでダーウィンのラジオ局へ報告した。そして、第一報を受け取ったラジオ局を経由し、わずか2分後の9時37分には、豪空軍部へこの知らせが届いていた。

しかし、この時点で敵機襲来の警報が鳴らされることはなかった――

9時58分。

最初の爆撃機がダーウィン上空に現れ、港に停泊していた船舶めがけて一斉攻撃を開始。この時、チモール海洋上に停泊した4隻の空母からダーウィン攻撃のために発進した爆撃機は計188機にも及び、(当時)人口6千人に満たない小さな軍港の町ダーウィンの上空は、おびただしい日本軍機に覆い尽くされたという。

ようやく事態の深刻さに気づいた豪軍部により、市街地への空襲警報が鳴らされたのは、マクグラー神父が報告してから30分近くが経過した午前10時頃。既に攻撃が開始された後であった。

この致命的ともいえる遅れは、報告を受けた豪空軍の係員が、「(マクグラー神父から報告された)南進する多数の航空機」を悪天候によって西チモールからジャワ島への飛行を中止し、ダーウィンへ帰還する10機の米軍機(USAAF P-40)であろうと、誤った判断をしたためとも言われている。

こうした伝達の遅れも伴い、市民は突然の空襲に曝されることとなった。この時、市街地にあった郵便局や電信局、病院等も攻撃対象となり、民間人が死亡している。

港と軍事施設へ大きなダメージを与え、一連の攻撃を終えた日本軍機団の最初の一波が去ったのは、10時10分頃だったとされる。

それから約2時間後、同日11時58分。

再び、空襲警報が市街地に鳴り響く。

二手に分かれた計54機の日本軍爆撃機が、再度ダーウィン上空に現れ、軍事基地を中心とした市街地へ一斉に爆弾を投下。

一連の攻撃を終え、日本軍機が立ち去ったのは12時10分頃であったとされる。

この日、2回に及ぶ日本軍の攻撃により民間人を含む243人が死亡、約400人が負傷した。(注意:現時点での記録に基づいた数字であり、引き続き検証が行われている)

この攻撃は、先の真珠湾攻撃を上回る弾薬量であったとされ、停泊していた8隻が沈められた港はもとより、軍関連及び主な公的施設が破壊され、ダーウィンの都市機能は失われた。これ対し、豪軍はわずかに日本軍機4機を撃破できただけであった。

ダーウィンは、この最初の攻撃から1943年11月12日までに、64回に及ぶ日本軍の空襲を受けることとなる。

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世界最大の珊瑚礁と世界最古の熱帯雨林へGo! ~~エコナビ・オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!

世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ
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(遅ればせながら…)あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

環境情報サイト「エコナビ」新年最初の更新として、「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」の第三回がアップされました。

自称・オーストラリア通の人でも「知らなかった~」と好評のこのシリーズ、第三回は「世界最大の珊瑚礁と世界最古の熱帯雨林」。

タイトル聞いただけでわかってしまう人も多いかもしれませんね…(^_^;)
そう、日本人によく知られた観光地が多いクイーンズランド州です。
訪れたことのある人も多いのではないでしょうか?

世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフがあるのは、ご存じの方も多いと思いますが、なんと、世界最古の熱帯雨林もクイーンズランド州にあります。

そして、国内でも有数のバードウォッチング天国!
さらに、国内最大級の都会に暮らすコアラ営巣地があったりと、自然たっぷりの州なのです。

住宅地(人間)と野生のコアラの共存という観点では、最も興味深いエリアでもありますし、ちょっと行けば海も森もあり、様々な野生動物に出会える“生き物天国”~♪

動物や鳥、爬虫類など、生き物好きなら目が離せないクイーンズランド州の、知られざる魅力をたっぷりどうぞ!

世界最大の珊瑚礁と世界最古の熱帯雨林 -クイーンズランド州-

エコナビ「世界最大の珊瑚礁と世界最古の熱帯雨林 -クイーンズランド州-」

エコナビ「世界最大の珊瑚礁と世界最古の熱帯雨林 -クイーンズランド州-」

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謎の生物の正体が判明した!

エビのお尻に刺さっていた謎の生物
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先日、スーパーでエビを1kgほど買ったら、1匹だけ、なにやら奇妙な形のものがあった。

んーーー??これは何???

普通のエビに比べるとやたら長い。

いや、よく見ると2匹がくっついて繋がっているような?
いやいや、さらによく見ると、繋がっている下の方の奴はエビではないように見える。

なんじゃこりゃ??

エビよりも黒っぽい“それ”は、エビの尻尾というかお尻のところに刺さっていた。

んーーーーー??なんだろ、これ???

お尻に刺さっている“それ”をひっぱって取り、マジマジとよく見ると、目があった。刺さっていたのは尖った口のようにも見える。

ちょっとタツノオトシゴに似ているような顔つき。
だけど、形が全然違う。
これまで見たことない奇妙な形の生き物だ。

とりあえず写真を撮って、本体の“それ”を空き瓶に入れて、冷蔵庫へ保管しておく。

その晩、ツイッターに“それ”の写真を投下。
もしかして、釣り好きな人などが知っているかもしれない…という、微かな望みをかけて。。

しかし、黒っぽくて奇妙な“それ”は、あまり見向きもされず(悲)…でも、一人のフォロワーさんが反応してくれた!

ちょっぴり期待に胸をふくらまし、回答を待つことしばし。

うーん、、やっぱり難しいか、、、、だって、生まれてこのかた、見たこともない生き物だものな。。さかなクンに訊かないと!(笑)

しかし、それから13日後、“それ”の正体を知る絶好のチャンスが訪れた!!

某テレビ番組のオーストラリア博物館での取材撮影に同行した際、取材対象の女性魚類学者のボスがでてきてくれたのだ。

彼は、オーストラリア博物館の魚系コレクションのマネージャーとして、魚を朝から晩まで調べている学者だから、きっと知っているに違いない!

それまで真っ暗闇の中にいたのが突然視界が開けたように、希望の光が見えてきた~~~ワクワクo(^▽^)o

取材の邪魔をしないよう、そっと彼に近づき、先日撮った写真を見せながら、訊いてみた。

「これ、先日スーパーでエビを買ったら紛れ込んでいたんですけど、何という名前かわかったら教えてもらえませんか?」

「うん?これはあれかな。サヨリの子供かなぁ?サヨリだと下の口が長いんだよね」

「下の口はとくに長くはないみたいなんですよね。よく見てください」

iPhoneの画面をピンチアウトして、大きく拡大し、もう一度見てもらう。

すると・・・・

「あ!!!」

急に彼の目がキラキラ輝き、思わずニタリとこらえきれない笑みをこぼしながら、

「ちょっとこっち来て!」

と彼の研究室へ連れていってくれた。

そして、大きなPCの画面になにやら打ち込んで、いくつかの魚系の生物が映し出された画面を見せながら説明を始めたのだ。

「これ見て。シーモスの一種だと思う。これらはSeamothといって、“海の蛾”と呼ばれているんだ。この中のどれかだろう」

シーモスは、魚のくせにほとんど泳がず、海底を這って移動するという。見た目も奇妙だけど、生態も相当奇妙だ。

「これは、よくいるんですか?」と訊くと
「うーん、どちらかといえば、すごくよくいるというわけじゃない」

ほう、それは意外と珍しいということなのかも。

「でもなんで、海の蛾、なんですか?」

「それはね、左右のヒレがバタフライの羽のようにみえるでしょ?それで、そういう名前がついたんだよ」

へぇぇ、なるほど…と思いながらも、イマイチ納得がいかない私。
なぜって?だって、エビに紛れ込んでいた“それ”には、ヒレは見当たらないのだ。

「でも先生、これ、ヒレはないように見えるんですけど…」

「ああ、たぶん、畳まれているんだよ。それ、捨てちゃった?」

「いえ、瓶に入れて、家に保管してます」

「じゃあ、見てみるといいよ。ヒレが畳まれているはずだから。あ、でもそれ、どういう状態で保管してるの?液体に浸かっている?」

「いえ、空瓶にそのまま入れてあります… でも、冷蔵庫に入れてるけど、だめ?」

「ううぅんん、、、きっと乾燥しちゃってる。。。。」

「えーー!?今から塩水に入れてふやかすとかじゃ、だめ??」

「ううぅんん、、、たぶん、無理。。。。」

えええええーーーーーーーっっ、ショックーーーーっ!!!
先生ここで苦笑い。

ショックを隠せない私を気遣って、いきなり違う話を切り出す先生。
「ちなみに、日本語でバタフライってなんていうの?」

ショックに打ちひしがれて、うつむき加減に小さな声で「チョウチョ」というと、

「え?チョチョ???チョウチョ????チョウチョwwwww」

あからさまに面白がる先生。

「ユニークで面白いね!」
「でも、(シー・モスの)モスは違うんです。モスは“ガ”と言います」

「え?ガ????ガ?????ガ?????」

こんどは面白がるどころか、狐にでもつままれたように、大きく目を見開いたまま、あっけにとられている様子。
たった一音の“ガ”が、あの羽のある虫を表す単語だとは、まったくの想像外だったようだ。

「日本語でモスは“ガ”、ただ単に“ガ”というんです」

何度も何度も“ガ”を発音してみせる私。
先生も続けて、“ガ”“ガ”“ガ”と真似して発音しながら、思わず、二人ともぷっと噴出して笑ってしまった。

チョウチョ、ガ、チョウチョ、ガ と何度も繰り返す先生(笑)。
相当この2つの日本語がお気に召したよう。(^◇^;)

とりあえず、あの謎の生物の正体がわかってスッキリしたし、先生に日本語教えてあげたら大層喜んでくれたし、めでたしめでたし?(^_^;)

家に帰って調べてみたら、シーモスSeamothは日本では「ウミテング」と呼ばれるものの一種のようで、トゲウオ目だそうだから、タツノオトシゴとは遠い親戚関係のような間柄だったことがわかった。だから、どことなく顔つきが似ていたのね。

で、コイツの名前は、98% 間違いなく Slender Seamoth だろうということも判った。たぶんそうだと思うけど、最近新種が見つかったそうなので、ちょっと油断できないかも(笑)。

(形はかなり違うけど)日本近海にもコイツの仲間が生息しているらしいので、詳しく知りたい方は以下のWikiのページでどうぞ。
ウミテング

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