謎の生物の正体が判明した!

エビのお尻に刺さっていた謎の生物
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先日、スーパーでエビを1kgほど買ったら、1匹だけ、なにやら奇妙な形のものがあった。

んーーー??これは何???

普通のエビに比べるとやたら長い。

いや、よく見ると2匹がくっついて繋がっているような?
いやいや、さらによく見ると、繋がっている下の方の奴はエビではないように見える。

なんじゃこりゃ??

エビよりも黒っぽい“それ”は、エビの尻尾というかお尻のところに刺さっていた。

んーーーーー??なんだろ、これ???

お尻に刺さっている“それ”をひっぱって取り、マジマジとよく見ると、目があった。刺さっていたのは尖った口のようにも見える。

ちょっとタツノオトシゴに似ているような顔つき。
だけど、形が全然違う。
これまで見たことない奇妙な形の生き物だ。

とりあえず写真を撮って、本体の“それ”を空き瓶に入れて、冷蔵庫へ保管しておく。

その晩、ツイッターに“それ”の写真を投下。
もしかして、釣り好きな人などが知っているかもしれない…という、微かな望みをかけて。。

しかし、黒っぽくて奇妙な“それ”は、あまり見向きもされず(悲)…でも、一人のフォロワーさんが反応してくれた!

ちょっぴり期待に胸をふくらまし、回答を待つことしばし。

うーん、、やっぱり難しいか、、、、だって、生まれてこのかた、見たこともない生き物だものな。。さかなクンに訊かないと!(笑)

しかし、それから13日後、“それ”の正体を知る絶好のチャンスが訪れた!!

某テレビ番組のオーストラリア博物館での取材撮影に同行した際、取材対象の女性魚類学者のボスがでてきてくれたのだ。

彼は、オーストラリア博物館の魚系コレクションのマネージャーとして、魚を朝から晩まで調べている学者だから、きっと知っているに違いない!

それまで真っ暗闇の中にいたのが突然視界が開けたように、希望の光が見えてきた~~~ワクワクo(^▽^)o

取材の邪魔をしないよう、そっと彼に近づき、先日撮った写真を見せながら、訊いてみた。

「これ、先日スーパーでエビを買ったら紛れ込んでいたんですけど、何という名前かわかったら教えてもらえませんか?」

「うん?これはあれかな。サヨリの子供かなぁ?サヨリだと下の口が長いんだよね」

「下の口はとくに長くはないみたいなんですよね。よく見てください」

iPhoneの画面をピンチアウトして、大きく拡大し、もう一度見てもらう。

すると・・・・

「あ!!!」

急に彼の目がキラキラ輝き、思わずニタリとこらえきれない笑みをこぼしながら、

「ちょっとこっち来て!」

と彼の研究室へ連れていってくれた。

そして、大きなPCの画面になにやら打ち込んで、いくつかの魚系の生物が映し出された画面を見せながら説明を始めたのだ。

「これ見て。シーモスの一種だと思う。これらはSeamothといって、“海の蛾”と呼ばれているんだ。この中のどれかだろう」

シーモスは、魚のくせにほとんど泳がず、海底を這って移動するという。見た目も奇妙だけど、生態も相当奇妙だ。

「これは、よくいるんですか?」と訊くと
「うーん、どちらかといえば、すごくよくいるというわけじゃない」

ほう、それは意外と珍しいということなのかも。

「でもなんで、海の蛾、なんですか?」

「それはね、左右のヒレがバタフライの羽のようにみえるでしょ?それで、そういう名前がついたんだよ」

へぇぇ、なるほど…と思いながらも、イマイチ納得がいかない私。
なぜって?だって、エビに紛れ込んでいた“それ”には、ヒレは見当たらないのだ。

「でも先生、これ、ヒレはないように見えるんですけど…」

「ああ、たぶん、畳まれているんだよ。それ、捨てちゃった?」

「いえ、瓶に入れて、家に保管してます」

「じゃあ、見てみるといいよ。ヒレが畳まれているはずだから。あ、でもそれ、どういう状態で保管してるの?液体に浸かっている?」

「いえ、空瓶にそのまま入れてあります… でも、冷蔵庫に入れてるけど、だめ?」

「ううぅんん、、、きっと乾燥しちゃってる。。。。」

「えーー!?今から塩水に入れてふやかすとかじゃ、だめ??」

「ううぅんん、、、たぶん、無理。。。。」

えええええーーーーーーーっっ、ショックーーーーっ!!!
先生ここで苦笑い。

ショックを隠せない私を気遣って、いきなり違う話を切り出す先生。
「ちなみに、日本語でバタフライってなんていうの?」

ショックに打ちひしがれて、うつむき加減に小さな声で「チョウチョ」というと、

「え?チョチョ???チョウチョ????チョウチョwwwww」

あからさまに面白がる先生。

「ユニークで面白いね!」
「でも、(シー・モスの)モスは違うんです。モスは“ガ”と言います」

「え?ガ????ガ?????ガ?????」

こんどは面白がるどころか、狐にでもつままれたように、大きく目を見開いたまま、あっけにとられている様子。
たった一音の“ガ”が、あの羽のある虫を表す単語だとは、まったくの想像外だったようだ。

「日本語でモスは“ガ”、ただ単に“ガ”というんです」

何度も何度も“ガ”を発音してみせる私。
先生も続けて、“ガ”“ガ”“ガ”と真似して発音しながら、思わず、二人ともぷっと噴出して笑ってしまった。

チョウチョ、ガ、チョウチョ、ガ と何度も繰り返す先生(笑)。
相当この2つの日本語がお気に召したよう。(^◇^;)

とりあえず、あの謎の生物の正体がわかってスッキリしたし、先生に日本語教えてあげたら大層喜んでくれたし、めでたしめでたし?(^_^;)

家に帰って調べてみたら、シーモスSeamothは日本では「ウミテング」と呼ばれるものの一種のようで、トゲウオ目だそうだから、タツノオトシゴとは遠い親戚関係のような間柄だったことがわかった。だから、どことなく顔つきが似ていたのね。

で、コイツの名前は、98% 間違いなく Slender Seamoth だろうということも判った。たぶんそうだと思うけど、最近新種が見つかったそうなので、ちょっと油断できないかも(笑)。

(形はかなり違うけど)日本近海にもコイツの仲間が生息しているらしいので、詳しく知りたい方は以下のWikiのページでどうぞ。
ウミテング

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Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
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コラムアップ!不思議な砂島 モートン島 【Risvel 連載コラム:地球に優しい旅しよう!】

Risvel 連載コラム 野生イルカの餌付けができるモートン島
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旅行情報サイトRisvel(リスヴェル)の連載コラムに、新コラムをアップ! 今回は、ブリスベン4部作に関連して、ブリスベンからたった75分で行ける別天地「モートン島」をご紹介♪

野生イルカの餌付けで知られるモートン島ですが、実は、世界で三番目に大きな砂島でもあり、驚きの自然が魅力の島なのです!

ブリスベンやゴールドコーストから日帰りも可能ですが(というか、そういう人のほうが圧倒的に多い)、イルカとのふれあいや島の大自然を満喫するためにも、できれば島内のタンガルーマ・アイランド・リゾートに宿泊して欲しいところ。

ちなみに私は、行った時は必ず泊まってます。なんたって、朝夕の風景も夜の星空も本当にすばらしいんだもの!!イルカたちはホントにかわいいし、ペリカンもひょーきんだし、マジでおすすめです♪( ´θ`)ノ

Risvelのコラムでは、モートン島のおすすめポイントがパッとわかるように、簡単に紹介していますので、さらに興味がある方は、さらに詳しく紹介しているオーストラリアNOW!のほうへジャンプしてください。ぜひそちらもご一読ください!(Risvelコラム内からリンクあります)

野生のイルカに、真っ白な大砂丘!不思議な砂島 モートン島

ちなみに、この取材は中国/日本マーケット向けのメディア・ツアーだったのですが、なんと日本人は私ひとり!

いやぁ、カルチャーギャップというか、なんというか、、いろいろと大変でした。。圧倒的に多数に無勢な状況の中、日本人代表として(?)なんとか乗り切ってきましたよ(笑)

ここだけの話だけど…食事中に急に電話かけだすとか、食事中にいきなり買い物いっちゃうとか。。みんなすごい自己主張強いの、、、(^_^;)

そんな取材の様子もちょっと想像していただきながら、コラムを読むと楽しさ倍増!?・・・するかもしれません。。( ̄▽ ̄)

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「JAL×WOWOW 映画のある旅」にて、ウルヴァリン:SAMURAI ロケ地案内

ウルヴァリン:SAMURAI ロケ地案内
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 WOWOWで3月24日に、「ウルヴァリン:SAMURAI」が放送されるのに合わせ、JAL×WOWOW「映画のある旅」というサイトで、ロケ地案内を執筆しました。

  「映画のある旅」は、WOWOWで放送される映画にあわせて、ロケ地となった場所を紹介し、JALで旅にでよう!と誘うサイトで、前回は「マトリックス」のロケ地をご紹介しました。

 今回の「ウルヴァリン:SAMURAI」は、『国際派俳優・真田広之と旅する春3月』というテーマで、真田広之さんが出演された国際的な映画を特集するうちの1つです。

 日本が舞台のはずのこの映画ですが、意外なことにシドニーをはじめとするオーストラリア・ニューサウスウェールズ州で多くのシーンが撮影されています。なんと、映画冒頭のカナダであるはずのシーンも・・・

 そんな、目からウロコのロケ地案内。実はワタクシ、この映画、見たことありませんでした(苦笑)。当地シドニーでロケしたことは知っていたのですが、内容的にあんまり興味がなく…(ゴメン!) ですが、ロケ地案内執筆にあたり、何度も繰り返し見て、其々のシーンで一時停止しては、ロケ地を特定していきました。(マトリックスのロケ地もそうしながら特定したんですけどね)

 そして、実際にそのロケ地となった場所に足を運び、撮影してきましたので、現地の臨場感をちょっぴりでも感じてもらえるととっても嬉しいです!「ウルヴァリン:SAMURAI」は、3月24日放送。ぜひ、映画とあわせてお楽しみください♪

JAL×WOWOW「映画のある旅」~ウルヴァリン:SAMURAI -日本、カナダの景色を南半球に見事に再現!?


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NHK-BS1「地球アゴラ」に出演!富山大学から生中継~鉄道がまちを変える

地球アゴラ「富山大学(1)祝!北陸新幹線 鉄道がまちを変える」
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 来週日曜日、2015年2月15日午後5時~放送のNHK-BS1「地球アゴラ」に、再び出演させていただくことになりました!今回は、スタジオを飛び出し、富山大学からの生中継です。

 今回のテーマは「富山大学(1)祝!北陸新幹線 鉄道がまちを変える」。富山とフランス、オーストラリアを繫ぎ、富山大の学生さんたちを交えてのトークになる予定です。この3都市の共通点は「路面電車=トラム」。今回私は、世界最大のトラム運営網を誇るメルボルンのトラムをご紹介!メルボルンのトラムといえば、アレですね♪ 一度は絶対乗ってみたいあの“名物トラム”をメインにご紹介します。

 ゲストは、富山ご出身の柴田理恵さん。メルボルンにも行ったことがあるということなので、お話するが楽しみです。実は私、柴田さんの出るドラマ、ほとんど見てるかもしれないくらい、めちゃ柴田さんファン!(笑)

 そして今回もVTR制作のために、先月、メルボルンでロケ撮影をしてきました。しかし…その時メルボルンは、ちょうど全豪オープンが前日に始まったばかりで、その日は錦織選手の初戦が行われる日であり、なんと、サッカー・アジアカップの日本代表戦も行われる日だったため、市内はめちゃ混み!なんでも市内中心部の人口が、通常時の20%強増しだったとか。しかも、毎日カンカン照りで、めちゃめちゃ暑い!(>_<)  サッカー日本代表戦の試合もチケットがあるからと、せっかく誘ってもらったのに、スタジアムの前まで行っただけで、泣く泣くその場を立ち去り、錦織選手がプレーしている会場の前まで、トラムで行っただけで、すぐさま折り返しのトラムに乗って、会場とサヨウナラ…… 悲しーーー!ヽ(;▽;)ノ とにかく、朝から晩まで、トラムを追っかけて、メルボルン市内を何度も行ったり来たり。目が回りそうなほど、ぐるぐるしてました(笑)  今回は前回とは違って、富山大からの生放送となり、学生さんたちからどんな質問がでるかまったく予想できないため、ほとんどフリートークとか。。富山大の学生の皆さん、変な質問しないでね~(違) お手柔らかに~(笑) ★NHK-BS1「地球アゴラ」 第258回「富山大学(1)祝!北陸新幹線 鉄道がまちを変える」2015年2月15日(月)午後5時~5時50分

NHK-BS1 地球アゴラ 富山大学から生放送 鉄道がまちを変える


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「JAL×WOWOW 映画のある旅」にて、マトリックスロケ地案内

JAL×WOWOW「映画のある旅」 マトリックスロケ地案内
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 あけましておめでとうございます!今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 2015年元旦にWOWOWで「マトリックス」3部作が放送されるのに合わせ、JAL×WOWOW「映画のある旅」というサイトで、9年ぶり(!?)に、マトリックスのロケ地案内を執筆しました。

 「映画のある旅」は、WOWOWで放送される映画にあわせて、ロケ地となった場所を紹介し、JALで旅にでよう!と誘う粋なサイトです。

 昔から記事を読んでくれている方はご存じと思いますが、以前書いた「マトリックス」のロケ地紹介記事は、私にとっても大ヒット記事のひとつ。今回はそれプラスαで、以前紹介しなかった場所やロケ地近隣の観光スポットも加えた豪華版です!しかし、記事執筆を進める途中で思わぬハプニングが…

 この中で紹介しているロケ地Eの「モーフィアスが捕らわれている政府関連ビル」のところで、近隣の観光スポットとして、先日シドニーで起きたカフェ人質事件の現場「リンツ・チョコレートカフェ」を紹介することになっていたのです。なんせ、現場はロケ地ビルの真ん前!

 最初のうちは、私も編集者さんも静観しようと思っていたのですが、あまりに衝撃的な結末だったため、急遽、差し替えに。。記事右横の写真をご覧いただくとわかると思いますが『鼻を触ると願いが叶う…シドニー病院前の「幸運のイノシシ像」』になっています。ここはロケ地ビルから徒歩2分程。

 現場となったカフェのあるマーティンプレイスは、普段は本当にのどかできれいな場所。リンツ・チョコレートカフェもおいしいチョコレート・スイーツがいっぱいで、常に多くの女性客で賑わっていました。事件後の今は、一時閉店となっています。今後再開するのか心配… ともあれ、この事件で、シドニーを敬遠する人がでないことを切に願っています。。

 ※なぜか突然、投稿不具合が生じてしまったので、続きはこちらに書きました。。たぶんWordpressのバージョンアップに伴う不具合と思うのですが、後で解決策を探ってみます。。。


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シドニーで起きたカフェ人質事件の顛末…

シドニーで起きたカフェ人質事件の犠牲者への献花であふれるマーティンプレイス
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 シドニーの中心部で、とんでもない事件が起こってしまった… 観光スポットでもあるマーティンプレイスにある「リンツ・チョコレート・カフェ」に、銃を持った男が従業員と客を人質に立てこもり、治安部隊(武装警察)が突入、犯人を含む3名が死亡するという痛ましい事件だ。

 カフェのマネージャーと客として店内にいた女性弁護士の2名が、犠牲になってしまった… この2名の犠牲者が、犯人によって撃たれて殺されたのか、治安部隊突入による銃撃戦で流れ弾に当たって死亡したのか、原因はわかっていない。

 事件の現場となってしまった「リンツ・チョコレート・カフェ」は、チョコレート会社がやっているカフェで、チョコレートのメニューが豊富なため、女性にはとくに人気の高いカフェだ。だから、どちらかといえば、いつも女性客が多い。男性は女性と共に来店した人か従業員くらいで、店内は広く、犯人が人質をとって立てこもるには条件が揃ってたかもしれない。

 実は、私も事件が起こるわずか10日ほど前に、この界隈を取材でウロウロしていた。というか、まさにこの「リンツ・チョコレート・カフェ」をこれから公開予定のウェブ・コンテンツで紹介するため、訪れていた。長い時間その場所に留まってはいないが、自分が巻き込まれる可能性がまったくなかったわけではないと思うと、背筋が寒くなる。

 とはいえ、事件があった当日は、シドニーを離れてメルボルンにいたため、たまたま見ていたTwitterに流れてきた豪ABCニュースの『速報』で、事件を知ったのだった。すぐにその豪ABCのツイートをリツイートまたは、日本語で説明を入れてツイートしようかと思ったが、たいしたことなく事件が解決してくれれば、とくに大事(おおごと)にすることもないという思いがよぎり、拡散するのをためらった。この時、頭の中をよぎったのは、事件によってシドニーのイメージが悪くなるかもしれない…というものだった。

 しかし、事件の経過と共に、そんな甘いことをいっている場合ではないとわかり、最初の速報から約1時間後に流れてきた以下のツイートをリツイートした。

 その日は移動していたため、その後もiPhoneを片手に、事件の経過を固唾をのみながら見守っていた。

 事件は、発生から約16時間後に、治安部隊突入。人質となっていた一般市民2名が死亡、半数近くが負傷、犯人死亡という悲惨な結末で幕を閉じた。犯人のイスラム国との繋がりなどが指摘されているが、シドニーでは以前にも、南部クロヌラで現地の白人系と中東系イスラム教徒らの武力衝突があり、民族暴動まで発展したことがあった。そうした意味では、様々な国からの移民で成り立つ国家の危うい部分は常にあるといえるかもしれない。普段から小さな衝突や差別的な事件がまったくないわけではないが、オーストラリアは全般的に概ね治安はよく、最大都市のシドニーでさえ、このように大きな事件はかなり少ない。

 そんな中で起こった痛ましい事件。いつもは平穏なオーストラリアにおいて、師走に起きたこの事件が、「2014年オーストラリアの14大ニュース The top 14 stories of 2014」のトップとなったのも頷ける。犠牲となってしまったお二方に、心から哀悼の意を捧げます。

※そんなわけで、記事内で紹介する予定だった「リンツ・チョコレート・カフェ」の部分はカット、別の物件に差し替えとなりました…。事件の経緯は、日本でもかなり報道されていたようなので、各メディアで確認してみてください。

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「地球アゴラ」魅惑の地下ワールド 涙のクーバーペディ・ロケ裏話その2

煙突みたいなものが、そこらじゅうの地面からでているクーバーペディの町
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 そんなわけで、前回書いたように、観光客など絶対に来ないだろうという、地元の超ローカルなパブへ、アポなし突撃取材に訪れた我々ロケ班。

 とりあえず、撮影許可を得なければ!ということで、以前、一度取材に訪れたことがあるというI氏が、その時に知り合ったキッチンのスタッフが、まだ働いているかどうか、とりあえず尋ねてみることに。

 しかし、既に数年の年月が経過しているため、その彼女はもういないとのお返事。それでも、マネージャーという女性がでてきて、事情を話すと、

ローカルな地元パブで食事をする住民のみなさん

ローカルな地元パブで食事をする住民のみなさん


 「誰が応じてくれるかわかんないけど、本人にOKかどうか聞いてみて、いいっていえばどうぞ。中は撮っても構わないから」

 という嬉しいお言葉!それじゃあ、インタビューの対象となりそうな、今回の番組テーマ『地下住居』に住んでいる人を探そうと、その辺で飲んだくれているおじさん数名のグループに声をかけます。

 「ちょっとすみませーん!」と声をかけると、振り返ったおじさんたちの顔が、

キタ────∵・(゚∀゚)・∵────ッ!!!!

 って感じに紅潮!ん?んん?なんだなんだ???なんなのこの反応????

 気を取り直して、とりあえず、我々が一体ここで何をしているのか説明しようとすると、こちらが口を開く前に、

 「おぉ!あんたたちのこと、知ってるよ!日本のテレビ・クルーだろ?!〇〇(O氏)、△△(I氏)、そして、Miki…だっけ?」

 え?なんで私たちのこと、知ってるの??しかも名前まで???

オーストラリアのアウトバック(荒野)に沈む夕日は、いつみても美しい!

オーストラリアのアウトバック(荒野)に沈む夕日は、いつみても美しい!


 困惑する我々の表情を見て、ひとりのおじさんが、立て続けにこういいました。

 「Facebookにでてたのさ。日本から、この町のこと紹介するために来たんだろ?さて、俺たちが協力できることは何だい?」

 お前らのたくらみは、もうすっかりバレてるのだよ、フフフ。何でも俺に聞いてくれ。エッヘン!とばかりに、超協力的なおじさんたち。

写真を撮られた後、即座に町のコミュニテイFacebookアップされてた!

写真を撮られた後、即座に町のコミュニテイFacebookアップされてた!

 ん?Facebook・・・・・??
 あっ!あの昼間に観光案内所で撮られた写真だ!と、いまさら気づく私たち。ほんの数時間前のことなのに、もうFacebookにアップされ、しかも、町の人たちが大勢見ているなんて!こんな、荒野の砂漠地帯なのに… もう、ホントにビックリです。

 しかし、そのFacebookのおかげで、話はとってもスムーズ。声をかけて欲しくて、わざわざ寄ってくる人もいたりして(笑)。とにかく、みなさん、とても協力的で大変助かりました。

 そして、その夜、宿に戻って、そのFacebookを見てみると、そこには、こんなメッセージと共に、我々ロケ班3名の写真が、名前と共に載せられていました。

 “If you see 〇〇, △△ and Miki around town they are a Japanese film crew doing a documentary on Coober Pedy life with ××. Say hi and make them feel welcome!
(日本のフィルム・クルーの、〇〇、△△、そしてMikiが、クーバーペディのドキュメンタリーを撮りに町を訪れています。もし見かけたら、ハーイと挨拶をして、歓迎してあげて下さいね)”

 注)〇〇と△△は、それぞれ、O氏、I氏のファースト・ネームです。

 なんと嬉しいじゃありませんか!!観光案内所の彼女の機転のおかげで、この後の取材・撮影も、とてもフレンドリーかつ協力的な住民のみなさんばかりで、大変スムーズにロケが進み、楽しく過ごすことができました。ご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございました!

乾燥してひび割れた大地でも、たくましく生きる植物に感動!

乾燥してひび割れた大地でも、たくましく生きる植物に感動!


 そして、ロケ2日目に入ると、到着した時は「これは、住めね~」と、ぼやいていたO氏にも、「やっぱり、“住めば都”かもなぁ。ちょっと住んでみてもいいかもしれない」と、心境の変化が表れ始めていました(笑)。

 最終日。番組でお見せした『おっきなオパール原石』を貰ったB&Bのケンさんに、オパールを掘った穴とか、マシーンを使ってガシガシオパールを掘っているところを見たいのだけど…というと、連れてて行ってくれるというので、ついていくことに。町の入口にほど近いところに残された、昔の手掘りの穴を撮影した後に、マシーンのある場所へ移動。ケンさん曰く、「車で5分くらい」ということだけど、道なき道のようなところを恐らく6~7km は走って、ようやく到着。

町の周辺は、こんな風にオパールを掘った穴だらけ!

町の周辺は、こんな風にオパールを掘った穴だらけ!


 レンタカーのため、慎重な運転を強いられているこちらに比べ、自分の車でガンガン飛ばすケンさん。こちらは、見失わないようについていくのが精いっぱいです。ガタガタの砂利、砂地のところを走るため、車の中で体がぴょんぴょん跳ねたりして、到着した頃には、ヘロヘロ……

 そうこうしているうちに、刻々と出発時間が迫ってきます。時刻は、正午を回り、なんだかお腹の時計も鳴りだして・・・

 結局、ランチを食べる時間もなく、撮影終了後に、そのまま空港へ。ここで、普通なら、空港で何かさくっと食べれば…とか思うところですが、到着時に見た通り、掘っ立て小屋をちょっとアップグレードしたくらいの小さな空港ですから、カフェなんて洒落たものはございません! (`・ω・´)キッパリ

 空港でレンタカーを返し、チェックインを済ませた後、それぞれが持っていたお菓子を分け合って食べ、持っていた水を飲んだだけで、搭乗となりました。。(涙)

こんな感じの小さなプロペラ機しか飛んでいない…けど、これ、サーブ SAAB 340機!

こんな感じの小さなプロペラ機しか飛んでいない…けど、これ、サーブ SAAB 340機!


 そして、来た時と同じように、ビデオを回しながら、砂漠のど真ん中にポツンとあるクーバーペディの町を上空から眺めつつ、あともう一日あったら…と、名残惜しさいっぱいで、帰宅の途へと着いたのでした。

 ここで、さらなる裏話をすると、実は、番組内でお見せした『おっきな(くず)オパールの原石』は、じゃんけんで負けて、私が引き取ったのでした。だって、みんな「重いからいらない!」っていうんだもん。。(´・ω・`)

 あと、このロケの3日間、ずっと同じ服装しなくちゃいけなかったのが辛かった。。VTRを編集する際に、前後入れ替える可能性があるからってことなんだけど、たしかに服装変わっちゃってるとおかしいもんね。

 その連絡があったのが出掛け際だったため、急遽、汚れても目立たないデニムの服と迷彩柄のパンツをバッグに詰め込んで、不要になった着替えを抜いたら、機内持ち込みできる小さなバッグでもスッカスカ。クーバーペディのような砂漠地帯だと、埃っぽいので、車乗り降りするだけで赤茶けた土が舞って服に着くから、あれで正解だった。さらに、あの服は、後ろからマイクの発信機とコードを隠せて大正解!でした。

番組内で自慢してた大きな(くず)オパールの原石

番組内で自慢してた大きな(くず)オパールの原石


 その他にも、番組のリハーサルでも笑える出来事や直前のドタバタハプニングがあり、面白満載の「地球アゴラ・魅惑の地下ワールド」編でございました。このエピソードも、後ほどご紹介できたらと思っています。また、今回のロケで泊めてもらったケンさんの地下B&Bや食事をした地下レストランなど、クーバーペディの観光情報も 『オーストラリアNOW! トラベル』などでご紹介する予定ですので、お楽しみに~♪ ああ、また行きたい!!


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