本日から!福岡にて、トミー中江 写真展 「オーストラリア 荒野の果てに」

トミー中江 写真展 「オーストラリア 荒野の果てに」
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 本日、5月15日(金)から福岡の富士フォトサロンで、知人のトミー中江さんの写真展「オーストラリア 荒野の果てに」が開催されます!

 トミー中江さんとは、オーストラリアのアウトバック繋がりでネット上で知り合い、お互いアウトバック好きということで親交させていただいてきました。いわば、形のないオーストラリアのアウトバック振興会の一員(笑)!

 最初は、私が某ポータルサイトのオーストラリアを担当していた時に、ネット上でトミー中江さんの「 Welcome to Australia’s Outback」というサイトをみつけ、声をかけさせていただいたのがきっかけ。その後も、「おすすめサイト」などに選定させていただいたり、度々情報交換などをさせていただきながら、今日に至っています。

 福岡近郊にお住まいの方、また、ちょうど期間中に福岡へ行く予定のある方は、ぜひ、富士フォトサロンへ足を運んでみて下さい!ご本人のトミー中江さんも、会場にいらっしゃるはずですので、ぜひ、平野の代わりによろしくお伝えいただければ嬉しいです♪

  トミー中江 写真展 「オーストラリア 荒野の果てに」
  開催期間:2015年5月15日(金)~5月20日(水)
  場所:富士フイルムフォトサロン・福岡
  住所:〒812-0018福岡市博多区住吉3-1-1 富士フイルムビル1F
  最寄り駅:JR博多駅

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Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

カウラ桜まつり、メルボルンの記事2本アップ!【Risvel 連載コラム:地球に優しい旅しよう!】

リスヴェルにカウラ桜まつりとメルボルンの記事をアップ!
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 旅行情報サイト「Risvel リスヴェル」で連載中のコラム:地球に優しい旅しよう!に、先月末に行われた「カウラ桜まつり」のレポートと、メルボルンが世界で一番フレンドリーな街、住みやすい街に輝いたという記事をアップしています。(またまた報告が遅くてすみません。。)

 この2本はどちらもレポート記事になっており、行ってみなければわからない(見えない)小さな発見などを盛り込んでいます。

南半球のオーストラリアに春がやってきた!~カウラ桜まつり

世界で一番フレンドリー&住みやすい街、メルボルンへ!成田発着直行便 搭乗レポート

 ジェットスターの直行便でメルボルンへ行ってみようかな? カウラってどんなところだろう?行ってみようかな?
と思った方に、ちょっぴりお役にたてると思います。

 ガイドブックには載っていない情報が詰まっていますので、どちらもよく知らない…という方は、ぜひ読んで、行きたくなってください♪



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NHK-BS1「地球アゴラ」に出演します!魅惑の地下ワールドへご案内

NHK「地球アゴラ」
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来週月曜日、2014年9月15日午後8時~放送のNHK-BS1「地球アゴラ」に出演、オーストラリアの「魅惑の地下ワールド」へご案内いたします!

この回の地球アゴラは、「魅惑の地下ワールド」と題し、ルーマニアとイギリス、そして、オーストラリアから、地下に広がるユニークな場所をご案内する企画。ゲストは、なぎら健壱さんと菊池亜美さんです。

※BS1での放送は、放送時間がいつもと違っているのでご注意ください、とのことです。また、NHKワールドプレミアムでも22日(月)午後4時10分~(日本時間)放送されるようです。

私がご案内するのは、オーストラリアの砂漠地帯にあるオパールの産地クーパーペディ。夏には50度近くにもなる砂漠地帯。荒野にぽつんと現れるアウトバックの町で、クーラー不要の快適生活をリポート!いや、快適なだけじゃなく、光熱費がほとんどかからない究極のエコ生活ですね、あれは。そんな、目からウロコの地下住居の暮らしをご紹介します。

先日、このレポートのために、クーパーペディへロケに行ってきました!ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、私がこの町を訪れるのは2回目。以前は陸路で入りましたが、今回はロケの時間が限られていることもあって、初めて飛行機でこの町へ入りました。

上空から見るクーパーペディは、まさに荒野にぽつんとあるオアシスのよう。しかし、町の周りはボコボコとそこらじゅう穴だらけ、穴の横にはアリの巣みたいにこんもりと盛られた砂山みたいなものが… そして、この辺り一帯は、夏場は50度近くにもなる灼熱地獄。実はこの町、この灼熱地獄から逃れるために、ほとんどの住民が地下の穴ぐらに暮らしている不思議な町なのです。地下都市とも呼ばれるクーパーペディ、その全容は・・・ぜひ放送をご覧ください♪

NHK-BS1「地球アゴラ」 第247回「魅惑の地下ワールド」2014年9月15日(月)午後8時~8時50分
NHKワールドプレミアム 2014年9月22日(月)午後4時10分~(日本時間)

NHK「地球アゴラ」 魅惑の地下ワールド


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オーストラリアの観光について考える -客が望むものと売りたいものの温度差

オーストラリア政府観光局新キャンペーンCM
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 オーストラリア政府観光局の新しい観光キャンペーンCMが、豪国内で話題になっている。観光キャンペーンに賭ける費用と(海外の人たちに対して)売りたい内容、そして海外の人たちがオーストラリアへの観光に期待することとの間に、温度差がありすぎるのではないか?というのだ。

 オーストラリア国内の主要紙を傘下にしているニューズ社が運営するニュースサイト「News.com.au」では、6月28日付けで以下のような記事をアップした。その問題視されているプロモーション・ビデオ(CM)を下に貼りつけてみる。

How much would the holiday in Tourism Australia’s new ad cost? A lot!
(オーストラリア政府観光局の新CM通りにホリデーを過ごすといくらになるのか?高すぎるだろ!)

 記事の内容を要約すれば、「ラグジュアリーで贅沢なところばかりを映し出し、海外からの観光客に魅力をアピールしたいのかもしれないが、観光客が本来望んでいるものとは違うのではないか?」ということ。

 ちなみに、この記事内では、このCM通りにオーストラリアを旅したら、合計で『 60,343.41豪ドル、今の為替レートだと約480万円 』になると試算。あまりにも高すぎるのではないか、としている。

 さらに、この新キャンペーンには250ミリオン豪ドルをかけていると引き合いに出し(参照)、「本来望まれているものではなく、単に自分たちが売りたいものばかりを先行させているだけなのに、こんなに高額のコストをかけることが見合っているのか?」と言いたいようだ。こうした国の観光キャンペーンにも税金が使われていることを意識し、国民が払った税金の使い道にうるさいオージーらしい意見でもある。

オーストラリアの魅力は何か?

 たしかに、オーストラリア政府観光局が売りたいような、素晴らしい景色の中で贅沢な時間を愉しめるところが、この国にはたくさんある。しかし、それらは、近年の豪ドル高のせいもあって、海外から来る人々にとっては、かなり高額なものになっているのが現状だ。いや、オーストラリア国内の人でさえ、一部の高給取りの人たちしか行けないような金額になっている。

 また、ただ単に「贅沢な時間」を過ごすだけであれば、アジア諸国にはオーストラリアでこれらに支払う額の三分の一くらいの額で、同等の「贅沢な時間」を過ごせるところがたくさんあるのだ。よって、「贅沢な時間」を過ごすために、それだけの高額を支払う価値があるのか?ということに疑問が湧く。

 オーストラリアならではの、オーストラリアにしかないもの。

 これが、本来「売り」になるべきなのに、そうでない部分が強調され過ぎている感が否めない。キャンペーンCMの映像だけに見れば、確かに素晴らしいし、美しいだけに非常にもったいない気がする。

雄大な自然とラグジュアリーは共存できない?

 例えば、オーストラリアの観光の目玉でもある「ウルル(エアーズロック)」は、雄大な風景が「売り」であるはずだ。しかし、日本の旅行会社なども「五つ星ホテルに泊まる!」など、無難な大型ホテルに観光客を押し込む。こうした傾向は、客の不満をより少なく、快適に「それ=雄大な自然」体験してもらおうとするせいなのだろうと推測するが、はたして大型ホテルに泊まって、ウルルならではの雄大な自然を余すことなく体験できるだろうか?

 私はこの問いに疑問を呈さざるをえない。たしかに、大型ホテルに泊まっても、ウルルの風景は見られる。しかし、それはただ単に「見た」だけなのであって、本当のウルルと周辺エリア(つまり、アウトバックと呼ばれる荒野)の素晴らしさを半分程度しか体験できていないのではないか?という気がするからだ。

 本当のアウトバックの凄さ=素晴らしさは、満天の星空の下で自然の音を聞きながら寝てみなければ味わえない。コンクリートで固められたホテルの密閉された部屋で、エアコンをかけながら寝たのでは、絶対にわからないのだ。

 おそらく、こうした体験をしたことのないオージーが、「私たちの国にも、(ヨーロッパにも負けない)こんなに素晴らしいリゾートがあるんですよ!」という、ある意味、「見栄」と「自らの希望」を前面に押し出した結果が、あのCMなのかもしれないな、と思う。日本でも田舎の人が「私の町にも、(東京に負けない)こんなにすごいショッピング・モールがあるんですよ!」というのと、どこか似ている気がしないでもない。

 今の時代、どこにでも人工的に造れる「ラグジュアリー」ではなく、そこにしかない「本物」を前面に押し出して魅力を伝えることができた国が、観光客の心を捉えるであろうことは間違いないはずなのだが…こうしたキャンペーンは、いつもどこか「灯台下暗し」的な感じが否めない。

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原発被災地の子供たちに、通学不要なネット授業を!

ノーザンテリトリー・アリススプリングスの通信学校 School of the Air (画像:Wiki)
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 福島第一原発事故による放射能汚染が広がりを見せ、福島県だけでなく、周辺各県への被害が拡大しています。関東圏の農産物や遠くは静岡県のお茶などにまで、規制値を超える放射線物質が検出され、地元のものですら不用意に口にできない事態となりつつあります。

 今回の原発事故は間違いなくチェルノブイリ原発事故を超えており、個人的には、アメリカが日本在住の自国民を退避させる目安として出した「80キロ圏外への退避」が望ましいと思います。ですが、住まいや仕事など、様々な事情から、簡単には移住=疎開できないという家庭も少なくないでしょう。

 ですが、大人はまだしも子供への放射線被曝は、計り知れないリスクを伴います。放射線による被曝の危険度は、高年齢になればなるほど低くなり、成長期である赤ちゃんや子供が最も高いのです。それなのに、福島の原発から80キロ圏内の子供たちは、今この汚染がどんどん進む中でも学校へ通学し、授業を受けることを余儀なくされています。

 その上、政府は元々年間1ミリシーベルトとしていた子供への放射線被曝量を20ミリシーベルトまで引き上げ(参考記事 記事2)、さらには、子供たちが通う学校の校庭で高い放射線量が測定されても、「校庭の土の上と下を入れ替えれば、放射線量は大幅減できる」などと、気休めのような対策を打つのみ(参考記事)。

 さらには、「福島産の牛乳や食材は危険だという風評を払拭するため」と称し、学校給食に県内産物を使うことを提唱する大人まで出てくる始末…(参考記事)。これでは、子供たちは外部被曝のみならず、体内摂取による内部被曝まで促進させられ、ますます癌や白血病をはじめとする放射線障害(参考記事)が起こる確率を高めることに繋がります。

 放射線による体への不調は、すぐに出るものではありません。5年後、10年後…後から影のように忍び寄ってくるのですから、できる限り被曝を避けなければならないはずなのに……。

放射線被曝をできる限り避けるためのネット授業

 今回の原発事故のように、目に見えない放射線被曝という恐怖にさらされながら、閉め切りの校舎で授業を受けさせるのも酷ですし、そんなことをしても100%防げるわけではありません。何より、登下校時の被曝も心配です。本来であれば、80キロ圏外への退避=疎開が最も望ましいのですが、それが不可能な家庭の子供たちのために、義務教育である小中学校のインターネット経由による通信学習ができればと考えます。

 これは、当地オーストラリアでは比較的ポピュラーなスタイルのリモート学校『 SCHOOL OF THE AIR スクール・オブ・ジ・エア 』をモデルにしてはどうか?と思っています。

 広大な国土を有し、一部の都市部を除けば、ほとんど人間が住んでいないアウトバックと呼ばれる僻地が広がるオーストラリア。それでも、そんなところにも点々とファーマー(農家、アウトバック地帯では主に牛飼い農家)が住んでいます。隣の家まで100キロ以上、隣の村までは300キロ以上という家も少なくありません。

 こんなところの子供たちは、学校へ通おうにも遠すぎて、通学は不可能。ですから、通信学習で単位を取得し、通学生同様の学歴を取得するのです。

※オーストラリアのアウトバックについては、こちらこちらにも記事を書いていますので、ご参考に。

SCHOOL OF THE AIR スクール・オブ・ジ・エアの成り立ちと仕組み

 SCHOOL OF THE AIRは、上記のような過疎地の子供たちへ学習の機会を与えたいという思いから、1948年にアリススプリングスという一部のエリアで航空無線を使って始められ、その後、このケースをモデルに1956年から本格的に始まりました。そして、1960年代後半には、ほぼオーストラリア全土のアウトバック地帯へと拡大し、今日でも続けられています。

<SCHOOL OF THE AIRの仕組み>

  1. 地域のメインとなる町にスタジオを置き、先生はこのスタジオからカメラに向かって授業を開始。
  2. 生徒は各自宅で授業開始の準備。インターネットが利用できるところでは、PCを立ち上げて、先生から呼びかけられるのを待つ。
  3. 先生は生徒の誰が授業に参加しているか確認。(点呼のようなもの)
  4. 先生がスタジオで授業する様子をインターネット経由で配信。
  5. 先生は質問なども適宜投げかけ、生徒との交流を図る。
  6. 年に数回、子供たち同士が本当に生で顔をあわせる機会を作る。

 オーストラリアではまだインターネットのインフラが不十分なエリアがあるため、今でも無線やラジオで行われているところもあります。ですが、日本のようにインターネットのインフラが整っている国では、映像の送受信もできるネット授業が最も適した手段と考えます。この場合、必要となるのは、インターネットができる環境と授業をインターネット配信するスタジオ、そして各生徒が受信するPCのみ。

故郷との繋がりを絶たない「ふるさと補習校」

 また、このネット授業に加え、故郷とのつながりを断たない「ふるさと補習校」も合わせて行うのが理想です。これは、@assam_yamanakaさんとのTwitter上でのやりとりの中で出てきた案ですが、海外の日本人子女は、現地校に通いながら故郷=日本(日本語)を忘れないために、週末などに日本人学校=日本語補修校へ通わせる家庭が多くなっています。この補修校の発想を国内の「ふるさと」へ繋げるというものです。

 地元に留まる子供たちには、普段は自宅でネットを駆使した通信教育で学んでもらい、年に数回は疎開した子供たちも含め、放射能汚染が少ない安全な場所で定期的に「ふるさと補習校」を開催する。昔やっていた林間学校のようなものを想像してもらえば、わかりやすいと思います。この数日間は、これまで同じ学校に通っていた親しい友人達と再会できる懐かしい時間となり、とくに普段自宅学習の子供たちにとっては、思いっきり外で遊べる機会になるような、楽しいプログラムを教師の皆さんに考えてもらえればと思います。

 危険を冒しながら学校に通わせることを止め、各自宅で衛星通信(現在は衛星インターネットが主)による学習ができる、このSCHOOL OF THE AIRのような仕組みを日本でも確立させ、少しでも安心して学習できる機会を子供たちに作ってあげることが、私たち大人の役目ではないでしょうか?

【参考資料】

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災害時にも役立つ!エコレポ「オーストラリアの僻地・アウトバックの暮らし方」

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 エコナビで連載中のコラム『自然と共存するオーストラリアの住まい』、Vol.4 「オーストラリアの僻地・アウトバックの暮らし方」がアップされました!

 オーストラリアのアウトバックは、電気や水道はもちろん、現在都会における暮らしでは当たり前になっている生活インフラのほとんどが通っていません。それでも、様々工夫と知恵で生活しています。まさしく、究極の自給自足! こうした暮らしぶりは、当然エコにも繋がります。

 去る3/11に発生した東北地方太平洋沖大地震では、被災地はもとより、都市部でも計画停電などで、不便な暮らしを余儀なくされている方々も多いかと思い ます。近代的なインフラ設備が整っていないアウトバックでの暮らしぶりは、こうした事態においても、また、今後の災害に備えても、役立つことも多いのでは ないかと思いますので、参考になると幸いです。

★エコレポ Vol.4「オーストラリアの僻地・アウトバックの暮らし方

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電気も水道もないオーストラリアのアウトバック(僻地)での暮らし

アウトバックで活躍するフライトドクター
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 オーストラリアは沿岸部の人口集中エリアを除き、ほとんどが人口数人から数百人程度の過疎地。こうしたリモートエリアは、アウトバックと呼ばれ、そこに暮らす人々の暮らしは想像以上に大変です。

 今回、東日本で大規模な地震が発生し、インフラが壊滅したりと、不便な暮らしを余儀なくされている方々も多いかと思います。また、都会でも計画停電などで不便を強いられている人も多いかと思いますし、今後の災害に備えて役立つことも多いと思うので、ここオーストラリアにおけるアウトバックでの暮らしは何かの参考になるではないかと思い、書き記すことにしました。

≪電気について≫

 電気は通ってませんので、基本的に自家発電です。ただ、今から被災地で自家発電というわけにはいかないとは思いますので、アウトバックでの暮らしぶりを紹介すると……

 極力節電するためもあり、日の出と共に起床、日没以後は早めに就寝。夜はランプの明かりなど、限られた明かりで過ごします。広く開けた場所があるなら松明などで明かりと暖をとります。ほとんどキャンプと同じですね。ただし、(余震も含め)地震発生の場合、火を使うことは火災発生の危険も伴いますので、可能な限り懐中電灯の利用がおすすめ。

 これから用意する場合、懐中電灯は机の上などに置けるランタン式があると便利です。また、外などを歩く場合は、頭に付けるタイプのヘッドライトが両手が使えるのでおすすめです。とくにお年寄りの場合、つまづいたりした時に手から懐中電灯が離れて真っ暗になることもあるかと思いますので、ヘッドライトなら安心です。

 電化製品は基本的に、冷蔵庫優先。とはいえ、開閉は極力少なくし、一日に何回と決めておいて、緊急でない限りは開けない。これでかなりの節電にもなりますし、保冷効果も少ない電力で可能です。また、中の物の腐敗速度も軽減できます。

 またアウトバックではないのですが、ここシドニーでも停電は日常茶飯事。冷凍庫には保冷材を常備。冷凍庫に余裕がある時は、水を入れたビニール袋やペットボトルを入れておきます。短時間ならそのままで、 長びきそうな時は、重要度の高いものから 順次少し大きめのアイスボックスに入替えたりすることで、かなり長時間の保冷が可能です。

 その他、不要なコンセントは抜くのはもちろん、テレビなども見終わったら必ず抜く。寝るときは、手元に懐中電灯を置き、トレイなどに起きた場合はそれを点灯。つまり、夜間は冷蔵庫のみが電源を使用している感じです。

≪具体的な野菜の保存方法≫

 イモ類や根菜類などはともかく、葉物野菜はとくに傷みが早いため、キャベツなどは芯の部分をくりぬき、湿らせた新聞紙を詰めておくと長持ちします。

 また、冷凍可能なものは、とりあえず何でも冷凍しておき、使う前に保冷が必要なものの周りをそれで囲んでおく。これで、解凍と冷却が一気にできますし、こんなものでも案外適度な“冷え”が得られますので、野菜類なら十分です。

≪水道について≫

 水道ももちろんありませんから、基本的に地下水を汲み上げられるところは地下水。それ以外にも雨水は必ず溜めておきます。各住宅に雨水タンクは必須で、家よりも大きなタンクを設置しているところもあるほど。(こちらで詳細をご紹介しています)

 水が濁っている場合は、以下のことを実践します。

1)底を切ったペットボトルを逆さまにし、その中に口から出ない程度の小石、炭(焚き火の燃え残り可)、砂、布の順番で入れる。
2)布の上から泥水を注ぎ、下から出てきた水を煮沸。

 これで泥水でも、ほぼ安全な飲料水になるようです。煮沸はできれば最低10分したほうが、より安全です。ただ、今回のように津波などで汚染物質の流出が考えられる場合は、確認してからにしてください。とはいえ、通常、食べなくても3週間は持つそうですが、水を摂取できないとほぼ確実に3日で命取りになるそうです。ご自分の判断で実践してください。

 また、アウトバックで遭難した場合に水を得る手段として、近くに草があれば、黒いビニールなどに青草を入れ、そのまま太陽の下にさらしておくだけでも草の水分が蒸発し、多少の水を得られます。

≪トイレについて≫

 水洗トイレも、もちろんありませんから、日本式でいうところの“ボットン便所”です。ですが、ほとんど臭いませんし、アウトバックでは基本的に汲み取りもしません。こちらではピットトイレと呼び、一般的にはコンポスト式トイレとして知られる、微生物処理トイレです。(これについても、こちらで書いていますのでご参照ください)

 今回の被災地でも、高台の家に非難している人がテレビの電話インタビューで、「トイレは困っていませんか?」という問いかけに対し、「簡易水洗なので、しばらくは大丈夫」と言ってましたが、やはり近代的設備は、こうした災害時に弱いのだなと実感しました。衛生的な問題もあるかと思いますが、旧式が一番なのかもしれません。

≪通信について≫

 電話回線はもちろん、携帯の電波も届かないところが多いので、主に衛星電話を利用しています。これは、今すぐに準備できるわけではないと思いますが、今後のために各自治体や隣保班などの単位で用意しておくといいかもしれません。

≪その他≫

 アウトバックの家庭では、ほぼ必ず犬を飼っています。これは、牧羊犬としてが主ですが、町へ買い物に行く時も必ず同行。もし万が一、悪天候などで遭難した時も犬がいるだけでも心強いですし、本当に道に迷ったときもアウトバックのような何の目印もない荒野では、犬の嗅覚が頼りになるからだそうです。

 また、病院などは近くにありませんから、フライング・ドクター(フライトドクター)が各家庭へ急行できるように配備されています。ですが、滑走路などはありませんので、開けた場所にランディング。ドクターの操縦技術もかなり高度なものが要求されます。

・・・以上、今気づく範囲で書き留めてみましたが、思い出せばまだ他にもあるかもしれませんので、気づいたら書き足したいと思います。

 アウトバックでは、買い物に行くのも数百キロ離れた町まで行かねばならないなど、通常都市部に暮らしている私達には思いもよらないほど、不便な暮らしをしています。といっても、彼らにとっては不便ではなく、当たり前の暮らしなのですが…(^^;

 ある意味、オージーはアウドドアの達人です。アウドドアでの知識は、こうした災害時にも十分役立つものばかり。今後に備えて、また、趣味と実益を兼ねてアウトドアやキャンプに目を向けてみるのもおすすめです。

 本当に世界が驚愕するほどの未曾有の災害ですが、被災地の方々、またこの災害で不便を強いられている方々、ぜひとも困難を克服して、頑張ってください!

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