オウムの郵便屋さんに会いたい!

オウムの郵便配達
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 先日、思わず釘付けになったとある記事。そこに載っていた写真には、我が家にも毎日やって来るオーストラリアの固有種「コッカトゥー」、和名では「キバタン」と呼ばれる白いオウムが写っていました。

 そのキバタンは、バイクの前につけられたかごバッグに停まり、ヘルメットをかぶったおじいさんがバイク運転。ん?このおじいさんの格好、どこかで見たことあるぞ?と思ったら、こっち(シドニー郊外)でもよく見かける郵便配達の格好でした!

 記事のタイトルには、「郵便配達のジョージ」とあり、そのキバタンはジョージという名前で、なんと郵便配達員らしい!?

勝手に我が家に侵入する悪戯もののキバタン

勝手に我が家に侵入する悪戯もののキバタン


 いえいえ、実際の郵便配達員は、このバイクを運転しているおじいさんなのですが、ジョージはいつも郵便配達のバイクに乗り、配達している間ずっと一緒にいるのだそう。なので、地元では「郵便配達のジョージ」として有名なのだとか。

 

なんともかわいいじゃありませんか!

 (実は、我が家では、毎日来ていたずらするので困っているのだけど、見るとホントにかわいいの。と、ついつい甘やかしてしまうのがいけないのですが…(^_^;)

 ジョージは、産まれて間もなく、親鳥によって巣から蹴りだされ、地面に落ちてしまったところをこのおじいさんに助けられ、命拾いをしたキバタンなのだそうです。そして6ヶ月の幼鳥の頃から、おじいさんが郵便配達に出掛ける時には、必ず一緒にバイクに乗り、配達を共にしてきたかけがえのないメイト(親友)♪

 ああ、うちにもジョージが配達に来ないかなぁ~ とか思いつつ、記事を目にしたあの日から、いつか絶対ジョージに会いに行きたい!と夢見る毎日なのです。(*´∀`*)

George the Postie, always delivers as he rides shotgun with Australia Post worker Bob Johnston


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Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
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野生動物と共存するために -ペンギンの島、フィリップ島の挑戦 ~エコレポ「 オーストラリアの野生動物保護:現場編」

野生動物と共存するために-ペンギンの島、フィリップ島の挑戦
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 エコレポで連載中の「オーストラリアの野生動物保護」、現場編の第9回目は、メルボルンから車で2時間程のところにあるペンギンの島、フィリップ島での環境維持と野生動物保護活動など、観光事業の裏側をご紹介しました!

 私自身もボランティアとして、保護活動を体験をさせていただいたのですが、華やかな観光事業の裏で、このような地道な作業が行われていたことを知り、大変意義深い取材となりました。

 このコラムでご紹介しいているフィリップ島の活動は、日本でも十分生かせるものだと思います。環境の保護・維持が野生動物を守ることに繋がり、ひいては、観光へと繋がっていく。本当に、エコツーリズムのお手本のような島だと思います。

 環境と野生動物の保護に関心のある方は、ぜひともご一読ください!

★エコレポ・オーストラリアの野生動物保護 Vol.9 「現場編(3)野生動物と共存するために -ペンギンの島、フィリップ島の挑戦

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1億年前の森へ ~世界遺産の森を歩く & 旅先では、その土地ならではの陶磁器をお土産に 【連載コラム:地球に優しい旅しよう!】

リスヴェル 地球に優しい旅しよう!
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 きっと旅に出たくなる!旅情報サイト「Risvel リスヴェル」で連載中のコラム:地球に優しい旅しよう!に、新コラムをアップしました!実は、先月分をご紹介してなかったので、今回は2本まとめてご紹介です。

 最新コラムは、『1億年前の森へ ~世界遺産の森を歩く』です。先日行ってきた、ニューサウスウェールズ州北部の世界遺産エリア「ニューイングランド国立公園」をご紹介しています。約1億年~8千万年前にかけて形成された太古の森の素晴らしい大自然とそこで出会った待望の生き物とは?!

 国立公園内の素朴なキャビンで過ごす、何もない贅沢なひととき… 壮大な日の出… 太古の森でのトレッキング… どっぷりと太古の自然に抱かれて、心も身体もリフレッシュする旅の提案です♪

 …それにしても、普通に都会で生活していたら、すごーーーく不便に感じてしまうであろう、超ベーシックなキャビンでの2日間でした。私は、もう慣れっこになってしまったせいか、かなり楽しんじゃったのですが(笑)。どんなところだったかは、コラムでどうぞ。

★リスヴェル連載コラム:地球に優しい旅しよう! 1億年前の森へ ~世界遺産の森を歩く

 そして、もう1本は、先月アップした『旅先では、その土地ならではの陶磁器をお土産に』。このコラムでは、旅先でお土産探しの私基準をご紹介しています。

 普段もずっと使えるその土地でなければ買えないものをお土産に…と求め続けた結果、あるものを買うようになったのですが、そのワケは?…というわけで、コラムのほうでそのワケをご確認くださいませ♪

★リスヴェル連載コラム:地球に優しい旅しよう! 旅先では、その土地ならではの陶磁器をお土産に

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ポッサムとオウムとワライカワセミ、3種の野生動物をレスキュー

ぐったりとして動かないポッサム
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 先週の月曜日は忙しい一日でした。仕事が忙しいのならまだしも、野生動物のレスキューに振り回されて、忙しかっただけなのですが…。

 まず最初に受けたレスキュー依頼は、『ポッサム』。近所の家で、かなり重症と思われるポッサムが倒れているので、救助してきて欲しいというものでした。ポッサムはこのブログでも何度か書いていますが、猫くらいの大きさの有袋類。我が家にも毎夜やってくるので、付き合い方は慣れたものです。ですが、かなり重症のようで、動くことができないとのこと。これは絶対に助けたい!

 急いでレスキューバスケットやタオルなどを用意して現場へ。場所は、我が家から車でほんの2分ほどのご近所でした。発見者の女性に案内されて、家の中を通り、ポッサムがいるというデッキへ行くと、誰でもが簡単に手の届くあたりに、ポッサムが横たわっていました。

 大きさからして、成獣のよう。ぐったりと顔を下に付けたまま、「死んでいるのかも?」と思うほど、まったく動きません。ですが、よく見ると、まだ呼吸しています。発見者の女性がかけてあげたというタオルが、体半分に掛けられており、近くには水と小さな器にキャットフードが入れてありました。

 彼女によれば、「右目のところを怪我しているようで、かなり酷いことになっている。でもここへ来て、これ(キャットフード)を食べていたの」とのこと。たしかにキャットフードは減っているし、彼女に「たくさん食べたのかな?」と聞くと、「たぶん昨夜か今朝も食べていたと思う」というので、これは、まだ助かるかもしれない!と、急いで抱き上げ、バスケットに入れました。

 そして、発見者の女性に通報のお礼を言い、急いで近くの動物病院へ!それにしても、ぐったりとほとんど動かないのが気になります。病院に着くと、バスケットごと先生に渡し、そのまま診療、入院となりました。

 そして自宅に戻る途中、再びレスキュー依頼の電話が…。正直、今日はもう勘弁して、、と思ったのですが、一応、依頼内容を聞くことに。すると、レスキューというよりは、すでに動物病院に預けられている『コッカトゥー(白いオウム)』を引取りに行って欲しいということでした。電話の途中で、別のもう一件もお願いしたいというので、話しを聞いてみると、「コッカトゥーを引取った後、別の病院で『クッカバラ(ワライカワセミ)』も引取ってきて欲しい」と…。

 ええい、こうなりゃ、一羽も二羽も一緒だ~!!

 まず向かったのは、コッカトゥーのいるマンリー近く。我が家からは車で20分ほどのところです。動物病院へ行くと、すぐに該当のコッカトゥーを連れてきてくれたのですが、スタッフの女の子は怖いのか、「タオルを持ってくるからやって」と、投げ出す始末。仕方なく、カゴからそっと取り出し、自分のバスケットへ。

 その後、鳥類コーディネーターに指示を仰ぐため電話すると、「そこの動物病院は鳥は得意じゃないから、保護された状況を聞いて、別のところでもう一度ちゃんと診てもらうようにして欲しい」とのこと。というわけで、相方が病院のスタッフに「どこで、どんな風に保護されて、ここへ来たのか?」を聞きに行く羽目になりました…。

片っ端から何でも噛みまくるコッカトゥー(白オウム)片っ端から何でも噛みまくるコッカトゥー(白オウム)

 病院スタッフの話では、「この近所に住む住人の庭で、飛ばずにずっと歩いているのを見つけ、おかしいと思い保護し、ここへ連れてきたらしい」というではありませんか。つまり、鳥なのに飛べないというのです!何か、どこかがおかしいに違いない。病気なのかも?というわけで、結局、再度別の動物病院へ搬送することになりました。

 搬送途中、カゴの中のコッカトゥーは、ずっとカゴのふちをガシガシ噛みっ放し…、ときおり、動物病院の誰かがくれたリンゴを齧ってみたりもするのですが、とにかく、どこでも噛みまくるのです。「噛んじゃダメ!」と叱ると、一瞬こちらをジっと見て止めるのですが、またそのうち、カミカミカミカミ、ガシガシガシガシと始まる。コッカトゥーは本当にタチが悪い!コッカトゥーのくちばしの強さはハンパじゃなく、硬い配管パイプにも穴を開けられるほどなのです。

 指定された別の動物病院へ行くと、そこは確かに鳥の患者が多いようで、待合室には2羽のセキセイインコが診察を待っていました。コッカトゥーを先生に預け、ホッとしたのも束の間、次はクッカバラの待つ、また別の動物病院へ。話は伝わっているようで、すぐにわかったのですが、なかなか当のクッカバラを連れてきてくれません。

 しばらくすると、「クッカバラ、今朝までは元気だったのだけど、急に容態が変化して…。もしかして、内臓にダメージがあるのかもしれない。あまり良くないから、あと数日診たい」とのこと。結局連れ帰ることなく、引き続き入院治療することになりました。

 気がつけば、日はすっかり暮れ、もうすぐ夜。とにかく願うのは、この日関わった子たちが皆、元気で無事に野生に帰れるように、ということだけです。それにしても、ほぼ一日中、動物たちのために奔走してしまった…あー、疲れた!

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ペンギンをレスキュー!感触はボンレスハムみたい?

救助したペンギン。カゴに移してもほとんど動かない…
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 シドニーに戻ったばかりの翌日(昨日)、久しぶりに野生動物救助に向かいました。今回のミッションは、なんと『ペンギン』!

 電話を受けたとき、「え?なぬ??ペンギン????」と、頭の中が「?」だらけになったほど…(^^;  シドニー沿岸部にペンギンが棲息しているのは知っていたけれど、まさかレスキューすることになるとは、夢にも思っていませんでした。(まあ、野生動物には違いないので、ないとは限らないわけですが)

 場所は、家から車で5分ほどのビーチ。シドニー市内中心部からは直線距離で、約30kmほどの海岸です。この辺りでペンギンが一番多く棲息しているのは、日本人観光客にもお馴染みのマンリービーチですが、その以北へと続くノーザンビーチーズ沿岸部には、ペンギンのコロニー(営巣地)が点在しています。その1つが、近所のビーチなのです。

 電話での情報では、「ビーチでうずくまっているペンギンを見つけ、確保している人がいるので、引取りに行って欲しい」とのこと。すぐさま、ペンギン発見者と連絡を取り合い、急いでレスキューグッズを車に詰め込んでビーチへと向かいました。

 折りしも冷たい雨が降り出していましたが、幸いすぐに発見者と会うことができ、ペンギンのペンちゃんと対面。牛乳を運ぶボックスに彼らのタオルと共に入れられたペンちゃんは、うずくまっていてあまり動きません。体長は35cm程度と決して大きくはありませんが、オーストラリアに生息するペンギンは、世界で一番小さなペンギン(リトルペンギン=コガタペンギンまたはフェアリーペンギンとも言う)なので、この大きさからして成鳥のようです。

 とりあえず、地面にボックスを置き、持って行ったレスキューバスケットに移そうとしたところ、発見者の女性が、「すごく怒ってる(興奮している)ので、気をつけて。突付かれるかも?」と。どうやら、男性が捕まえようとした時に突付かれてしまったようです。

バスケットに移したペンギン。自分のバスケットに移したペンギンのペンちゃん

 「発見した時、側で犬がウロウロしていたので、やられちゃったのかもしれない。何でもないといいのだけど…」 心配そうに見つめる発見者のカップル。雨足も強まり、もう辺りは暗くなってきていたので、早くしなきゃ!

 「大丈夫だよ、大丈夫。怖くないから、いい子にしててね」と話かけながら、そっとタオルをかけて捕まえ、自分のバスケットへ移しました。その様子を見ていた発見者の女性が、「わ、うまい!さすが」と、小躍りして褒めてくれました。せっかく褒めてもらったのだけれど、それほどレスキューの数はこなしてないし、なによりペンギンは初めてなんですけど~…(^^;

 発見者の2人にお礼と別れを告げ、怪我をしているかもしれないので、急いで病院へ。

 受付のスタッフに「野生のペンギンなんですが、怪我をしているかもしれないので、念のため見て欲しい」と告げると、「えぇ?ペンギン??」とちょっとビックリしていました。さすがに動物病院といえども、ペンギンが診察に訪れることなど、そうそうないでしょうから(笑)。

先生がカゴから取り出したら、羽をバタバタさせて暴れるペンギン先生がカゴから取り出したら、羽をバタバタさせて暴れるペンちゃん

 先生が診察台へと取り出し、体中のあちこちを検診してくれました。とりあえず外傷はなし。この日は強風が吹き荒れており、波も高く、海が非常に荒れていたので、餌を取りに行ったペンちゃんが、荒波に打ち返されて岩などに衝突し、脳震盪等を起こしてうずくまっていただけなのかもしれません。とにかく無事でなにより♪

 カゴから取り出す時にちょっとバタバタと暴れたけれど、見た目もきれいで羽が青くツヤツヤと光っています。とても元気そう♪ 私が抱っこした時にほとんど動かず大人しかったのは、犬に驚いたのといきなり人間が来て捕まえられたので怖かっただけのようです。先生に大丈夫とのお墨付きをもらい、ひと安心!

ペンギンを検診中!ペンギン、検診中!

 病院ではこの間、突然の珍客にちょっとした騒ぎになっておりました。代わる代わるスタッフが見に来たり、診察した先生ですら「ちょっと記念撮影を」なんて、自分の携帯電話で写真を撮ってもらっていたほど(笑)。ペンちゃんはこの後、鳥類コーディネーターに引渡し、そこで何日か過ごした後、動物園に保護されるか、野生に戻されることになると思います。

 さて、思いがけず、野生のペンギンを抱っこする機会に恵まれた(?)わけですが、ペンギンの感触はというと・・・・・・なんだか、ボンレスハムのよう。体全体に脂肪がたっぷり付いていて、ボヨヨ~ン&ブニャ~という感じでした…(^^;

先生も珍しかったらしく、ペンギンと記念撮影先生も珍しかったらしく、ペンギンと記念撮影

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地球温暖化で鳥が小さくなっている!?

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 地球温暖化が叫ばれる昨今、実際に温暖化しているのか否か、定かではありませんが、気候は確実に変化していると実感します。

 昨年から今年にかけて、オーストラリアでは各地で大洪水に見舞われ、2月には超巨大化したモンスター・サイクロンが襲来。日本をはじめ、アメリカやヨーロッパなどの北半球でも豪雪に見舞われるなど、異常気象ともいうべき気候変動は地球規模で起こっているといえそうです。

 こうした気候の変化が、実際に地球上生物に与える影響はあるのでしょうか?

 2009年に発表された「気候変動で鳥が小さくなっている」という、ひとつの衝撃なレポートがあります。

 それは、オーストラリア国立大学のガードナー博士らの研究グループが、オーストラリアにおける鳥の生態を調べていたところ、同種の鳥のサイズを約1世紀前と比較すると、大きさ・羽の長さが約2%~4%近くも小さくなっていたことがわかった、というもの。鳥たちの中で最も縮小が顕著だったのは、オーストラリア東海岸に生息する「バリゲイティッド・フェアリーレン / Variegated Fairy-wren」という鳥(上写真)で、現在シドニー近郊で見られるサイズは、ちょうど1世紀くらい前にブリスベン近郊で見られたものと同サイズになっているとか。

 緯度にして、シドニーより7度ほど赤道に近いブリスベン。鳥類は、赤道に近いほど小さくなる傾向があるそうです。これは、ベルクマンの法則と言い、赤道近くに生息する鳥ほど小型で、高緯度になるほど大型化する傾向があると言われています。つまり、現在のシドニーは、昔ならブリスベンくらいの緯度と同程度の気候になってきているということに―。

 気候区分によると、シドニーは完全な温帯であるのに対し、ブリスベン・ゴールドコーストあたりは亜熱帯に属します。冬は氷が張るほどではないけれど、そこそこ寒くなるシドニーに比べ、ブリスベンおよびゴールドコーストあたりは冬でも日中は半袖でも過ごせるほど暖か。その違いは距離的にも、また気温差からみても、東京と高知くらいの差があります。(下の図はピンの位置がゴールドコーストになっていますが、距離感の参考に)

オーストラリアの上に日本を重ねた図注意)南半球では上が赤道に近くなります。

 たしかにシドニーでは近年、スコールのような通り雨が増えたり、どこか熱帯を思わせる鳥の鳴き声が聞こえたりするようになった気がします。これらを温暖化と呼べるのかどうかはわかりませんが、気候が亜熱帯化しているのではないか?と思うことは、他にも多々あり、間違いなく気候が変わってきているのだろうと実感せざるを得ません……。

【ANU Climate Change Instituteによるレポート】Australian Birds Shrinking, Climate Cause
【オーストラリアの気候と特徴】4つの気候帯 by オーストラリア政府観光局 – 教育旅行サイト(公式)

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人間の仕業?野鳥を襲う悲劇…雛たちはどこへ?

無残にもぎとられてしまったヨコフリオウギビタキの巣
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 1月25日に、こちらで「ただいま、子育て中」と紹介したヨコフリオウギビタキ。その後も3羽の雛たちはすくすく育っていました。

 昨日、30日の日曜日に見に行った時には、もうずいぶんと羽も生え始め、あと2週間もしないくらいで飛べるのでは?というくらいまでに成長。羽をパタパタさせる子もいたほど。

 が、しかし! 本日、ショッキングなことが……。

昨日(1/30)のヨコフリオウギビタキの雛たち。大きな口を開けて餌をねだっています。昨日(1/30)のヨコフリオウギビタキの雛たち。大きな口を開けて餌をねだっています。

 巣が作られていた場所は、近くの枝が無残にも折られ、巣は枝から跡形もなく消えていました……。そして、近くをふらふらと飛びながら、弱々しく鳴く親鳥。

 雄と雌が力をあわせて、あんなにも一生懸命、交互に餌を取って来ては、雛たちに与え続け、あそこまで大きくしたのに。突然、巣ごと雛たちが消えてしまったのです。きっと、途方に暮れているのでしょう。

 近くの太い枝が折れ、巣ごとなくなっている というのは、猛禽類や蛇などの天敵の仕業とは到底思えません。彼らなら、雛だけをもっていくはず。どう考えても、その状況は人間がやったとしか思えない!許せんっ!!(怒)

巣があった場所と折れた枝の状況。巣があった場所と折れた枝の状況はこんな感じ。

巣があった真下には、雛のものと思われる羽毛が…巣があった真下には、雛のものと思われる羽毛が…

 実は、このヨコフリオウギビタキ(現地名:ウィリーワグテイル)の巣は、ドッグトレーニング可のオープンなスペースに作られていました。川に沿って開けた芝生エリアに並ぶ木立の、ちょっと手を伸ばせばすぐに届く場所。週末には家族連れがバーベキューに訪れ、犬を連れた人たちが大勢やってくるところです。

 そのため、毎日犬の散歩をさせている老婦人や川岸で涼をとるカップルなど、いつもその場所を訪れている人たちは、そこに巣があることを知っていました。

 昨日の夕方にオットが様子を見に行ったところ、肉食のワライカワセミ(現地名:クッカバラ)が近くに来たのを警戒し、親鳥が必死で巣を守っていたので、加勢してクッカバラを追い払っていたら、いつものカップルがやってきて、「あんたはいいヤツだ」と話かけてきたとか。あえて口には出さないけれど、実はみ~んな、ヨコフリオウギビタキの味方♪

 元々生まれた雛は4羽だったこと、ある日1羽だけがカラスにさらわれ、3羽になってしまったことなども、皆、毎日のようにこっそりヨコフリオウギビタキの子育ての様子を見に来ては、ずっと温かく見守っていたのです。

羽が生え始め、元気だった昨日(1/31)の雛たち。

羽が生え始め、元気だった昨日(1/31)の雛たち。

 昨日の夕方までは元気だった3羽の雛たち。なのに、巣ごとどこかへ……。

 雛たちを探すように、木立の中をさ迷うようにふらふらと飛びながら、鳴き続ける親鳥の声だけが、悲しいほど川面に響き渡っていました。。。(涙)

悲しそうに鳴き続けていた親鳥悲しそうにずっと鳴き続けていた親鳥

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