恐怖の暗闇トイレ -前編-

西オーストラリアの荒野を行く!
標準

取材から戻ったら知らないうちにシドニーは夏時間になっていた…。

海外へ行ってきたわけではないのに時差があり、さらにシドニーのあるニューサウスウェールズ州のようにデーライト・セービング(夏時間、冬時間の切り替え)制度を導入している州としていない州があるため、国内でありながら西と東を行ったり来たりすると、時間的な混乱が生じてしまう。

行ってきたのは、お隣はアフリカ!という西オーストラリア州。

アフリカ大陸からの熱い風と、ここオーストラリア大陸の中心で温められた砂漠の熱風が吹き荒れる(?)灼熱の土地だ。

西オーストラリア州に降り注ぐ太陽は、東側のシドニーなんかとは比べ物にならないほどジリジリと暑い。
「ああ、太陽に焼かれている…。焦げてる…」とマジで思うほど、暑いとか熱いという感覚を通り越して“痛い”のだ。

そんな西オーストラリア州の州都パースから北上し、とある国立公園内のな~んにもないキャンプ場で夜を明かすことに。
キャンプ場とはいえ、単に車が停められるように整地してあるのと簡易のピット・トイレ(つまり、ぼっとん便所ってやつ)があるだけだ。

日没までになんとか国立公園まで入ろうと、猛スピードで4WDのキャンパー(キャンピング・カー)をを飛ばし、日の入りほんの数分前というギリギリのタイミングで目的地のキャンプ場へ到着。

束の間、夕暮れの風景を眺めた後、速攻で食事の支度をはじめる。電気も水もない僻地では、日が暮れたら真っ暗で何もできないからだ。

水はタンクに十分積んできたはずだが、シャワーなどが使えるはずもなく、食事もできる限り水を使わないもので済ませるようにし、食べたらさっさと寝る。

それが、ブッシュでの掟。
とはいえ、こうしたアウトバックでは夜空がとてもキレイなので、夕食後、夕涼みを兼ねた星空観測とあいなった。

シルエットになった岩と岩の間にいくつもの星が流れ、頭上には数え切れないほどの星が瞬いている。なんとも幻想的で美しい光景――

な~んて、ロマンティックな気分に浸っている場合ではない!

夜遅くまで起きていたらトイレに行きたくなるじゃないか!!

別にピット・トイレが不潔だとか、そんなことを言っているわけではなく、こういう静かな場所の真っ暗なトイレに行くのが単に嫌なのだ。

暗さに関しては一応懐中電灯を持っていくので多少の解決にはなるけれど、なんたってシーンと静まり返った夜の(ぼっとん)トイレってのはちょっとキツイでしょ…(^^;

とはいえ、自然の生理現象を止めることなど誰にもできるはずもなく、仕方なくトイレへと向かう。

小さな懐中電灯を照らし、錆び付いたトタンのドアを開けると、ギギーっという鈍い音がその辺り一帯にコダマする。

ああ、憂鬱…。

しかし、そんな憂鬱な気分に浸っていられるのはほんの数秒間だけだった!

トイレに足を踏み入れ、便器のあるほうへと一歩踏み出すと――――

…というわけで、本当の恐怖が始まったのでありました。
この続きは後編で。(^^)/~

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。
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恐怖の暗闇トイレ -前編-」への20件のフィードバック

  1. さくらきのり

    無事だったんですね!
    更新がなかったから、僕達に挨拶無しでどこか遠くへお嫁に行っちゃたんじゃないかと心配してました。
    パースの北だったんですね。
    長時間走り続けると退屈しちゃうんでしょうが、写真を見る限り面白そうです。
    真っ暗なぼっとんトイレ→真っ暗ならそんな狭いところにいかなくても どこでもOKな気がしますが・・・・
    続編を期待しましょう。

  2. Miki

    ご心配おかけしました!
    無事、帰還しております(笑)
    > どこか遠くへお嫁に
    って、いつの話って感じですね(爆)
    そういえば、日本で子供達に絵を教えていた時、
    遠くの国へ行くことになったのでもう教室には
    来られないんだよと話したら、
    「僕が大人になって車の免許をとったら、
    先生を迎えに行ってあげる」
    といってくれた子がいました。
    いやぁ、子供って素直でかわいい!
    …おっと、話がズレました…(^^;
    > 真っ暗なぼっとんトイレ→真っ暗ならそんな狭いところにいかなくても どこでもOK
    ヘビとか変なトカゲとか虫が出たら怖いじゃない
    ですか!
    何がいるかわからん国なんで(笑)

  3. ZUZU

    おかえりなさい。
    いいなぁ~、アウトバックの雄大な景色(憧)。
    でも難点は……私、キャンプが苦手なんです。
    トイレのエグさ、シャワーが浴びれないこと
    などが理由ですけど。
    夜空はさぞかし綺麗だったでしょうね。
    カンガルー島やモートン島で見た
    たくさんの星を思い出します。

  4. Miki

    ただいまです~!
    > 私、キャンプが苦手なんです。
    > トイレのエグさ、シャワーが浴びれないこと
    > などが理由ですけど。
    私もです(笑)。
    でも今回のこのキャンプ場みたいなところに
    泊まらざるをえないことも、ままあります…(^^;
    が、ほとんどはキャラバンパークを利用するので、
    快適です。
    トイレもシャワーも結構キレイだし、お湯も豊富に
    でますから、ZUZUさんでもきっと大丈夫ですよ。

  5. Igarashi

    大変な仕事しているんですね。
    美紀さんが、ぼっとんトイレに落ちた話とか余り聞きたく有りませんが。
    何しに行ったのかも書いてください。

  6. Tiko

    更新本文の
    >トイレに足を踏み入れ、便器のあるほうへと
      一歩踏み出すと――――
     さあ、この続き予測。
    私もIgarashiさんと同様、ぽっとんへボットン系の話
    かと思いますが、もし本当に落ちていたら、Mikiさんの
    現在の生還はなかったはずなので、
    >一歩踏み出すと・・・
      床板がギギーーっと軋み音を立てて沈み始め・・・
     コアラかタスマニアン・デビルを抱っこしたお写真では
    そのような体型ではない美形系なので、体重のせいではなく
    床の老朽化だと思いますが、
     あんまり先をアテると続編を書きづらくなってしまうと
    思いますので、詮索はイロイロありますが、このあたりで。。。
    でも楽しみ(´-`).。oO

  7. Miki

    どうも皆さん、“ぼっとん”にはめたいようですね(苦笑)
    > 何しに行ったのか
    は、ですね、アウトバックにある国立公園の取材です。
    取材といっても個人的に行きたかったということも
    あるのですが。
    オーストラリアのアウトバックはいいですよ。
    途中で野生のエミューやカンガルー、変な大トカゲなんかが出てきて、すごーく楽しい♪
    とにかくワクワクします!
    Tikoさん、
    > コアラかタスマニアン・デビル
    のどちらでもないですよ!
    これはウォンバットと言います。
    コアラに一番近い有袋類です♪

  8. Tiko

    はい、ウオンバット君ですね、了解。
    こちらの方は美形と少し距離を置き、
    体重もしっかりしていそうですね。
    顔なんかMikiさんより大きい?
    >オーストラリアのアウトバックはいいですよ。
      (中略)すごーく楽しい♪とにかくワクワクします!
     そうでしたね、Mikiさんは毛がないのを除き
    動物好き。。。
     じゃ、私は不適格かも? 『薄い』のはどーいう判定
    になるんでしょう? ちょっとでも、ホーンのちょっとでも、
    生えてさえいれば問題ないですよね、ね、ねっ、

  9. Tiko

    >ホゲっ??
     あーびっくりした。
    ○ゲ、と言われたかと思った(涙)
     

  10. Igarashi

    Tikoさん
    完全にMikiさんに振られました。
    毛が生えてる以前の問題かも?

  11. sakurakinori

    そうそう!
    「チョットでも毛が生えていれば好き」って言うのだだったら『カビの生えた餅が好き』に似てるかも。(笑)

  12. Tiko

    sakurakinoriさん、お待ちしておりましたっ!
    なんせ、あなたは私の毛の状態をご存知の
    たった一人の生き証人!
    『Tikoさんはカビの生えた餅、どころか、ちょっと後退気味
    とは言えるが、黒髪残数量棚卸計測結果モンダイなし!
    海中写真家の中村征郎さん(BePalでおなじみ)似の
    男前ナイス・ミドル!!』と、事実証言してして!!
    (注:偽証は罪に問われます)

  13. Tiko

    アセって、写真家中村さんのお名前間違えちゃったじゃないすか、
    お名前は、昨日の征郎ではなく、征夫さんでした。
    中村さん、どこかでご覧でしたら、大変失礼致しました。
    Igarashiさん、>『初老』とは控えめな表現で、
    喧嘩腰、どころか、ちょっと感謝(^^;
     というのは、『初老』って、ググッみると『40~45歳くらい・・・』
    との解説なんですねー。それ以上は『老人』と。へー!
     そのデンで行くと、私なんざ、『老中』『大老』で
    あらせられますゾ!ええいええい、控えられませい!(喧嘩腰?)
     旗色が悪くなったので、話題転換。
    Igarashiさんも中村さんと同業者なので、彼をご存知かと
    思いますが、アウトドア、アウトバック志向のMIkiさんも?
     私の『ナイス・・・』はスベりましたが、『男前』の方は、
    彼はホンモノ。私と同年(告白)なので、
    『大老』の定義(年齢)にご興味の方は彼のプロフィール
    を見に行き、写真集でもご購入検討されては・・・?
    おっと、これはアフィリエイトではありませんので失礼しました。

  14. Miki

    初老って…
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%9D%E8%80%81
    ↑によると、昔は40代くらいだったけど、今は50代くらうとありますね。
    さらにここ↓によれば、
    http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/roujin_utsu.html
    「初老期うつ病は、60歳前後」と。
    中村征夫氏に似なら、これ↓を見る限り
    http://www.squall.co.jp/profile/index.html
    なかなかのナイス・ガイですな~。
    といっても、実際の氏を見たわけでないのでよくわかりませんが。
    しかし、Tikoさんが彼と同年とは!
    お父さんのような人だったのね…(^^;

  15. さくらきのり

    か、還暦とは感激! そこまで御長老だったとは!
    『お父さんのような人』(爆)
    唯一の生き証人の私でさえ、その中村征夫氏の頭には白い帽子があるので、似ているのかいないのかワカリマセン!
    とりあえず私はここを失礼して、美紀さんの“完ケツ編”に飛びます。

  16. Tiko

    >お父さんのような人
    >還暦過ぎてるじゃん。
    >そこまで御長老だったとは!
     ↑ るせーるせー、ったらもう。。。
    ・・・といいつつ、今、見てきました。
    ワタスにクリソツ!
     もち、白い帽子は明日よりパクリ決定(^^;
     

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