「水が岩を流れる場所」
先住民族のナバホの人々が古くからそう呼んでいた渓谷は、この辺りに生息していた“カモシカ”という名称がつけられた。
その昔、ナバホ族の子供達にとって遊び場であったこの場所は、1930年代、1人の写真家によって撮影された写真をきっかけに、一躍脚光を浴びることになる。
この地に流れる季節的な鉄砲水が造り上げた造形美。
風雨によって削り上げられた狭い渓谷は、その優美な曲線と地球の年輪ともいえる地層の色彩で私達を魅了する。
その瞬間は正午にやってくる。
岩山の頂上から一筋の光が差し込むと、それまで暗闇に包まれていた洞窟内部に新たな息吹が吹き込まれる。それは、あたかも神の降臨のごとく、荘厳で神秘的な光景―
その瞬間を見た者は、その場所にただ呆然と立ちすくむだけだ。
一人の女性が、光が造り出した輪の中で、そっと目を閉じる。彼女は暖かな光に包まれながら、太古の地球と交信しているかのように身動きひとつせず、じっと同じ場所に佇んでいた。
【ANTELOPE CANYON-LAKE POWELL NAVAJO TRIBAL PARK】
アッパー・キャニオン高さ:約1,219メートル
※現在もナバホ族の管轄下にあり、モンスーンの時期等、季節的に閉鎖されることもある。
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