 見渡す限り果てしなく続くその渓谷は、川の浸食によって生まれた。だから、地表であった頂上は、地平線のごとく一直線に水平を保っている。
その頂から、朝陽が昇る。その瞬間、太陽は大地の裂け目を照らし、壮大なる地球の歴史を私達の目の前にさらけ出す。そして、そこに広がっているのは、どこかの異星へ放り出されてしまったかのような不思議な風景。
グランド・キャニオン ―
アメリカ合衆国アリゾナ州北部に創り出された驚異の渓谷は、今、20億年前の地層を侵食しながら、地球創生の日への到達を試みている。
グランド・キャニオンが最も輝く時、それは、日の出と日没の瞬間だ。あたりの空がピンク色からオレンジへと変化し、地上に一筋の光が差し込む。その光は渓谷の奥深くに注ぎ込まれ、今なお大地に深く溝を刻むコロラド川を宝石のように輝かせる。
赤く、そしてオレンジ色に、刻々と変化する地球の断面を見た人々は、言葉では言い表せない大きな感動に包まれていくことだろう。
そして、太陽が再び西の彼方へと去ろうとする時、空は燃えるように紅に染まり、最後の一筋の光が暗闇に落ちていく川面をキラリと一瞬照らし出すと、あたりはそっと静寂に包まれていくのだ。
この、光が織り成すグランド・キャニオンの“美”と“静寂”。相反する2面の雄大なる自然こそ、生まれたままのこの星の姿を想起させる、地球上唯一の風景なのかもしれない。
今ではアメリカ国内のみならず、世界中から大勢の見物客が押し掛ける有名観光スポットとなったこの場所は、1979年、世界遺産に登録された。
【GRAND
CANYON NATIONAL PARK】
総面積：1,218,375エーカー
年間訪問者数：約500万人
※国立公園内サウスリム（南側）のメイン・ポイント間は、随時シャトルバスが走っている。
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