度々映画やCMに登場し、その奇景を世界に知らしめることとなったモニュメント・バレー。
数々の西部劇の舞台となり、今でも幌馬車が砂煙を上げながら走ってきそうな荒涼とした砂漠の風景が広がっている。
地面からニョキニョキと生えてきたかのようにそそり立つ岩山。しかし、それは何億年という、とてつもない歳月をかけて風雨が大地を侵食した残骸である。
ナバホ族と呼ばれる先住民たちは、この地を『聖地』として崇拝した。
鉄分を大量に含んだ大地は赤く染まり、ところどころ黄色味がかった砂地に、ようやく根を張った背丈の低い植物のみが生き残れる、乾いた大地だ。
日の出前、紺青の空にモニュメント=記念碑のように聳え立つ岩山のシルエットは、ぽっかりと浮かんだ三日月を背負い、まるで影絵のごとく神秘的な表情を見せている。
白々と明け始めた空が少しずつマゼンダ色に染まる頃、岩山の上部に朝陽が当たり始める。
そして、目も眩むほど強烈な光は、岩肌を真っ赤に染め上げ、あたりを静寂に包まれた影絵の世界から一転、“シュールレアリズム”の世界へと私達を誘う。
【MONUMENT VALLEY NAVAJO TRIBAL
PARK】
総面積:91,696エーカー
※現在もナバホ族の管轄下にあり、アリゾナ州とユタ州にまたがる民族保護区である。
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