ご存知のように有袋類であるカンガルーやコアラは、オーストラリアを代表する固有種です。
有袋類は、1億年以上前には地球上に広く繁栄していましたが、現在では、主に南米を中心とするアメリカ大陸のオポッサムとケノレステスを除き、オーストラリアとニューギニア島に生息するのみ。しかもオーストラリア大陸においては、生息する固有哺乳類全体の60%以上に当る141種にも及んでいます。
しかし、現在地球上の哺乳類の主流は、胎盤で子育てをして出産する有胎盤類がほとんど。
なぜ、他の大陸でほとんど見られない有袋類が、オーストラリアでのみ、これほどまでに繁栄したのでしょうか?
1億年以上前に分岐した有袋類
哺乳類は、カモノハシやハリモグラのように卵を産む単孔類が現れ、育児嚢(いくじのう)と呼ばれるお腹の袋で子育てをする有袋類、現在主流を占める有胎盤類へと分岐したと考えられています。
有袋類と有胎盤類は、約1億4,000〜7,500万年前に分かれたとされ、脳の発達や環境適応能力等のいくつかの要因から、どちらかというと有胎盤類のほうが、子孫を残しやすかったと言われています(*2)。
こうして有胎盤類は、徐々に地球上での勢力範囲を広げ、それまでの主流であった有袋類を駆逐、絶滅に追いやっていきましたが、早くから他の大陸と分断されていたオーストラリア大陸に到達することはありませんでした。
そのため、太古の時代にこの地に渡った有袋類が繁栄し、独自の進化を遂げたと考えられています。
(*2)=この説は一般的ですが、まだ調査・研究途上のため、他の大陸で有袋類がほぼ絶滅した理由が完全に解明されたわけではありません。