長野県の須坂市動物園で飼われていたアカカンガルーのハッチが、今月25日老衰で死んでしまったそうです。地元でもTVでも(?)人気者だったというハッチ。カンガルーらしいつぶらな瞳が印象的でした。
◎人気者カンガルーの「ハッチ」、老衰で死ぬ(読売新聞)
増えすぎて駆除対象になっているカンガルーといえどもハッチの種「アカカンガルー」は個体数が減り、レッドリストにも載っている種。アカカンガルーは、カンガルーの中でも最大の種でもあります。絶滅危惧……とまではいきませんが、もちろん駆除対象外。とはいえ、見分けのつかない阿呆なハンターが誤って駆除してしまうことも多々…(涙)。
ハッチは9歳でこの世を去ったわけですが、人間の年齢に直すと70歳代とか。アカカンガルーの寿命は10年前後とされていますが、実際はもっと短い。野生の場合だと縄張りや食料争い等で傷つけ合うことも多く、その傷が癒えぬまま、死に至るケースもかなり多いのです。なので、ハッチのように動物園で飼われていた場合は、野生よりも少々長く生きられるのだろうと思います。
同じく有袋類のポッサム平均寿命も約6~7年。記録によれば、野生で10年生きたものもいたそうですが、私が毎日観察している限りでは、ほとんど6年前後です。
私は動物園というところ自体が、あまり好きではありません。もし、寿命が短くなったとしても生まれ育った原野を駆けずり回り、仲間同士に争いをかいくぐって生きる。それが、本来の生き物の姿だと思うからです。
どこでも手軽見られるように、遠く遥々地球の裏からでも動物達を集める、という発想自体に人間のエゴが感じられる、とも思っています。
もちろん、動物が好きだから動物園が好き!という人もいるでしょう。でも、動物がこの上なく誰よりも(?)大好きな(を自称する)私ですが、どうしても好きになれない。
ともあれ、ハッチの冥福を心から祈りたいと思います。
野生のアカカンガルー …たぶん
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
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