イマドキの修学旅行

シドニー北部のビーチ
標準

昨夜8時半頃、玄関のドアをコツコツと叩く音が! 「こんな夜に誰だろう?」と、出てみると隣の坊ちゃん達が困ったような顔をして立っていたのです。

「あのう、、こんな時間に悪いんだけど、ちょっと来てもらってもいいかな?実はね…日本人の交換学生が来てるんだけど、いろいろ伝わらなくて困っちゃってるんだ」

とのこと。坊ちゃんに促されるまま、取りも直さず隣の家へ行ってみると… いました、いました。日本人高校生2名。私が顔を出すと、おばちゃんは”地獄に仏”といった面持ちで、

「ああ、よかった! i-phone の翻訳機能(ソフト)を使って一生懸命やりとりしてたんだけど、ラチがあかなくて。いちいち入力するものまどろっこしいから、ええい、隣の人を呼んできてって子供達に頼んだのよー」

開口一番、そう一気に喋り、矢継ぎ早に「疲れてないかな?」「寒くない?寒いようだったら毛布を持ってくるからって言って」「シャワー、大丈夫かしら?聞いてもらっていい?」と数々の質問やメッセージを彼らへ伝えて欲しいと言うのです。一通り伝えたところで、

「ところで、明日はブルーマウンテンズに行くんだったっけ?」

と彼らのスケジュールについて私に聞くので、「いや、私は何も聞いてないから、ちょっと待って」と彼らを呼び、日程について聞くと、明日はブルーマウンテンじゃなかったと思うとのこと。1人の子が、スケジュール表を出してきて見せてくれたのですが、それによると明日の予定は、“ポートスティーブンス”となっているじゃありませんか。

「明日はポートスティーブンスに行くことになっているみたいですよ」
「えぇ?ポートスティ-ブンス?それじゃ、(ブルーマウンテンズとは)まるっきり反対方向だねぇ」
「彼らのプログラムによると、明日は4コースから選択するようになっていて、この子達はポートスティーブンスを選んだみたい」
「そう、そうだったのね。でも夕食はここに帰ってくるはずだから……」

こんな会話が続き、改めて彼らの日程表に目をやると、よく考えたら、なんとも忙しいスケジュールだこと。

昨日の朝シドニーに着いて、そのままシドニー市内をちょっと観光?
夕方、このエリア(ノーザンビーチズ)に到着。お隣の家にホームステイ。
翌日朝8時に再集合、ポートスティーブンスへ。約200キロ、片道3時間はかかるはず。つまり、行き帰りの往復だけで6時間。トータルで8~9時間くらいはかかるでしょうか?
夕方、ホームステイ先に帰宅。
翌朝再集合、ブルーマンテンズへ。この日はホテル泊。

まだこの先もあったかもしれないけれど、ざっとこんな感じ。日本を発ち、着いたその日の夕方にホームステイ宅に放り込まれて、ホストファミリーと過ごす時間もほとんどないまま、翌朝早くに出かけてしまう。そして、帰ってくるのは再び夕方遅くで、あたりはもうほとんど真っ暗です。そして、夕食は一緒にとるけれど、再び翌朝早くに「さようなら~」といった具合。

ホストファミリーと過ごす時間は、おおよそ8時間程度といったところでしょうか? これじゃ、ホームステイの意味はほとんどないような気がするのですが…。

隣の坊ちゃん達も昨日、「彼らがここへ来たときに一緒にビーチを見に行ったんだけど、もう薄暗くて、景色もあまりよくなかったから、いい写真も撮れてないと思うんだ。だから、明日もう一回、明るい時に行こうよって思って」と、せっかく日本から来たのに、何も見ないで帰っちゃうのは残念すぎると話していました。

私も本当にそう思います。せっかくホームステイするのなら、家族が揃う週末に合わせるなどして、ホストファミリーとBBQするとか、ビーチで遊ぶとか、一緒に過ごす時間を少しでも多くしたほうがいいんじゃないかなと。この日程だと、飯食って、寝るだけ。みたいな感じですもん…(^^;

それから、彼らが持っていた日程表は日本語で印字されたものだけだったので、ホストファミリーに見せても読めませんよね。で、しかたなく、私が呼ばれることになったわけですが、学校側も英語でも併記するなどの対処が必要なのでは?と、ちょっと思いました。海外修学旅行を実施している学校の先生方、検討の余地ありではないでしょうか?

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
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