気候変動は確実に起きているが、温暖化は疑問

シドニーで実った果樹
標準

 年間を通じ、温暖なシドニー沿岸部では、柑橘類やビワなどの温暖な気候に適した果実以外は結実しないと言われている。それは、主に北半球なら北の地などで育つ果樹の場合、芽が休眠から覚め、開花するために、ある程度の低温期間(休眠期)が必要と言われているからだ。

 とくに冬場にグッと冷え込むことが必要とされる果実は、氷さえ張らないシドニーの温暖な気候では結実しない…というのが、なかば常識。我が家には、プラムと桃の木があるが、事実13年間一度も実が生ったことはないし、この地に50年以上住んでいるお隣のおばあちゃんも「それは桃の木だけど、実はならないからねぇ」と言うのが口癖だった。

 ところが今年、あろうことか桃もプラムも実をつけたのだ!

シドニーで初めて実ったプラム

 思い返せば、たしかに今冬(オーストラリアは南半球のため、冬は6~8月頃)は、これまでになく寒かった。氷こそ張らなかったが、今冬3か月間の暖房代が900ドル(約7万2千円)を超えたという家庭もあったほど。

 そう、今年の冬の冷え込みはハンパじゃなかった!あれは到底、温暖化しているとは思えない。むしろ、寒冷化なのではないかとさえ思えてくる。

 しかし、研究者たちはこぞって、「温暖化による果樹への影響」を強調し、「栽培適地が北上し、今世紀後半には現在の主産地で栽培が難しくなる」と警鐘を鳴らす。

 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所が発表している『温暖化が果樹生産に及ぼす影響と適応技術』のレポートでは、以下のような点を懸念材料として挙げている。

  • リンゴ、ウンシュウミカン、ブドウの果実着色不良、果実軟化、貯蔵性低下、ほとんどの樹種で発生する日焼けなどの果実障害の問題がすでに顕在化
  • 休眠期の温暖化により、施設栽培での発芽不良、地域によっては凍霜害などが増加

 また、地球環境研究センターによるレポート『温暖化の影響が顕著な果樹生産』でも以下のように指摘している。

  • 農業は環境への依存度の高い産業であり、地球温暖化による農業、とりわけ気候への適応範囲が狭い果樹栽培へのインパクトが懸念されている
  • 気温上昇が直接、生育に影響を与える果樹栽培では、栽培適地が大きく北上する可能性がある
  • すでに現れている温暖化の影響:着色不良・果実肥大・休眠不足・害虫北上

 この他にも、温暖化で果樹への影響、とりわけ栽培地が北上すると断言するレポートは枚挙にいとまがない。

 地球が温暖化しているというのならば、ではなぜ、これまで温暖な気候で冬場に冷え込みが厳しい寒冷地でしか育たなかったはずの果樹が、シドニーで実をつけたのか?という疑問が残る。

 また、日本でも寒く厳しい冬と猛暑の夏になっていると聞く。アメリカやヨーロッパなどでも、同じエリアなのに冬は豪雪、夏は猛暑など、異常な気候に見舞われている。

 つまり、地球は全体的に気候が変わってきているものの、『温暖化』しているのではなく、『極端化』しているだけなのではないのか?

 しかし、世界の流れとして、どうしても『温暖化』にしたい理由があるのだろう。それは、人間が排出する二酸化炭素の削減を実行するため。そのために、原発を推進したり、排出権取引に絡む利害関係や炭素税導入など、世界中の一部の利権者達にとって、オイシイ策を実現させるため、としか思えないのだけど……

【参考】

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

気候変動は確実に起きているが、温暖化は疑問」への2件のフィードバック

  1. とら猫イーチ

    お初にお邪魔いたします。
     鋭い観察眼をお持ちですね。 感心いたしました。 しかも、豪州での自然界の変化にお気づきとは。
     実は、私も、自分の業務(関西の自治体での道路管理業務)を通しまして、近年の気候変化を感じております。 それは、決して「温暖化」ではありません。 関西では、冬期に、路面の凍結がこれまで観られない山間地や郊外で、凍結防止剤が必要になる事態が頻発し、道路管理者が対応に追われることが多くなって来ております。 
     私は、以前から自然保護の活動に微力を尽くして来ましたが、環境保護の運動が「温暖化」一辺倒になって行く奇妙な現象を観て来ました。 これは、環境省を通して「補助金」等の動機が作用しての結果ですが、政治・経済の要請に依り「科学」が相当に歪められているのを運動を通して感じ、最近では、嫌気が射して来ております。
     「温暖化」について内外の論議を観てみますと、天文学の分野、中でも、太陽研究者は、「温暖化
    」と正反対の将来を観ているように思います。 でも、この最新の観測結果と研究は、政治・経済面の必要から、無視される運命にあるようです。 しかしながら、気候の変化は人間の思惑とは無縁ですので、馬鹿な日本人も、近い将来に現実に目覚めることになるでしょうが、ここ暫くは、「温暖化」教からの改宗は難しそうです。
     http://chikyuza.net/n/archives/16228
     太陽観測衛星「ひので」の観測結果は何を物語る?

  2. Miki Miki

    コメントありがとうございます!
    そうなんですよね、、

    専門家の中にも温暖化に懐疑的な人も多いですし、実際、
    世界各地で温暖化とはいえない状況が見られます。

    世界の動きは、実際の地球環境のことよりも、経済活動を
    優先する傾向にあり、それがさらに取り返しのつかない
    事態を招きそうな気がしています…。

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