「死体投げコンテスト」ニュージーランドの教育に物申す!

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ニュージーランドという国が、どんどん嫌いになっていく…。青い空にポッカリと浮かぶ白い雲。清々しい空気感に満ち溢れた高き山と美しい緑。自分の中では、そんな、爽やかな光景が真っ先にイメージされていたニュージランド。でも、(隣国という)身近な国になってみて、ずいぶんとイメージが変わってしまった。

天気予報を見る限り、なんだか常に雨のマークが目立ち、とくに冬場は週の半分以上が雨マークだったりする。しかも冬の気温は結構低く、かなり寒そうだ。雨が多いということは、きっとイギリスのように昼でも薄暗いに違いない、と、過去のロンドン暮らしを思い出して身震いがすることも。これだけでも十分なほど、「青い空、清々しい空気」のイメージはぶち壊れ、“いいイメージ”がガラガラと音を立てて崩れていく。

さらにニュージーランドに対する“いいイメージ”が、(私の中で)崩壊寸前にまでなったのは、ニュージーランド人のある行いについて知ってしまったから。それは、ポッサムに対して、普段極々当たり前のように行われていると言う、ニュージーランド人にとっては半ば常識と言える「行為」なのだそうだ。

ポッサムは、オーストラリア固有の夜行性有袋類で、元々ニュージーランドには存在しない動物。しかし、寒いニュージーランドにおいてポッサムの毛皮を目的に、ヨーロッパ人が持ち込んだものが野生化し、現在では在来種に影響を与えると駆除の対象になっている。そのため、ニュージーランドでは車で道路を走行中にポッサムを見かけた場合、戻って轢き殺すのが当たり前なのだという。

この話を聞いたとき、身の毛がよだつほどゾっとした…。一度通り過ぎたにもかかわらず、わざわざ戻ってでも轢き殺すというその神経に、おぞましさを覚えたほどだ。たしかに、ニュージーランドでは、在来種を脅かすペスト(害獣)ではあるのだろうけれど、、、どうしても理解できない。。そこまでする必要があるのか?もっと別の手段があるのでは?と思ってしまう。そんな話を何度も耳にするうちに、こうした常識がまかり通っているニュージーランドという国が、なんだか遠い国に思えてきてしまっていたのだった・・・・・。

そして今日、ついに駄目押しとも言える新聞記事を目にし、私の中のニュージーランドに対する“いいイメージ”は、ほぼ完全に崩れ去った。

その記事の内容は、学校のカリキュラムの一貫として、死んだポッサムを投げて飛距離を競うコンテストを行っているというもの。動物に対する愛護の精神を教えるのが当たり前だと思っていた学校という場所で、そんなコンテストが行われているという事実に驚愕した…。(しかも、親も一緒になって、、)

このコンテストについては、ニュージーランド国内でも、動物愛護団体や保護団体をはじめとするいくつかの筋から、「死んだ動物に対する畏敬の念がない」「たしかに害獣ではあるが、死んだものに対してそれはあまりにも酷い行為だ」といったような抗議があったそうだが、学校側は一向に意に介さない様子で、「我々の子供達は、害獣であるポッサムとペットの猫の区別くらいつく」と言い放っているという。さらに、ニュージーランドのネットメディアが行った「ポッサムの死体投げコンテストをどう思うか」という投票では、60%もの人々が「harmless fun for kids(子供達にとって無害な楽しみ=遊び)」と回答したのだそうだ。

子供達が動物の死体を投げて遊ぶという行為が狂気の沙汰でないなら、一体何なのか?こんな遊びをして育った子供は、死んだ者に対してどんな思いを抱くのだ ろうか??例え害獣であろうとも、死んだ動物に対しては敬意を払い、きちんと埋葬してあげましょう、というのが教育ではないのか???

たしかにポッサムは、ニュージーランドの在来種ではなく、農作物等にも被害が出ている現状から見れば、かわいいとは言ってられないのだとは思うけれど、そこまで死者に鞭打つのか、、というのが正直な気持ち…(涙)。しかもポッサムが自らニュージーランドに渡ったわけではなく、勝手に連れていかれたのだから余計にやるせない。

どちらにしても、自分達の身勝手な理由から動物達を移住させ、都合が悪くなったら殺す・・・・・・といった、あくまでもすべてをコントロールしようとする西洋式のやり方に、ホトホトうんざりするんですけど。。

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

猫や犬などのペットが生態系を壊す!

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猫や犬など、ペットとして飼われている動物達が、その地区本来の生態系を壊す…これは実際に起こっている由々しき事態。輸入された動物が捨てられ、地区固有の動物達が生きる場所を奪われるだけではありません。ペットによって、種そのものの存続すら危ぶまれている野生動物達がたくさんいるのです。

一昨日、野生のポッサムであるたまちゃんが永眠しました。たまちゃんの年齢は、毛並みの感じ等から5~6歳前後だったのではないかと推察しています(たまちゃんは途中参入なので、正確な生まれ年がわからない)。野生のポッサムの寿命は、平均6~7年と言われているから、寿命であった…と言えるかもしれません。

でも、それだけでは片付けられない症状がありました。苦しそうにヒューヒューと音を立て、呼吸自体も速く、かなり咳き込んでいたことも。そして、内臓をやられていたようで急激に痩せ、お腹のあたりをずっと気にして舐めていました。また、そのせいなのか、歩行も困難に…。

いろいろと気になって調べたところ、トキソプラズマに感染していた疑いが浮上。トキソプラズマは、ご存知の方も多いかと思いますが、猫がその終宿主となり、排出する糞が感染経路となる原虫感染症。人間にも感染するため、とくに妊娠初期の妊婦は注意が必要とされています。

現在近所には3匹の猫がいます。隣の家に来た猫が約1年半、前の家が3年前に引っ越してきた時に連れてきた猫が2匹。そして、そのすべてが放し飼い状態…(- -;。猫はほぼ一日中出入り自由で、時には真夜中にウロウロしていることも。もちろん、トイレも外です。こうした場合、野生動物がトキソプラズマを持つ猫が排出した糞から感染源となるオーシストに接触する機会はおのずと増える…。

トキソプラズマは、哺乳類や鳥類など、ほぼすべての動物に感染しますが、とくに有袋類にとっては、もっとも警戒すべき感染症と言われています。動物園の飼育マニュアルにも「有袋類の飼育上、もっとも警戒すべき感染症のひとつ」とされているほど。太古の時代に北米に生息していた有袋類が絶滅したのは、このトキソプラズマがその一因であったとする説もあり、また現在、野生の固有動物のほとんどが有袋類であるオーストラリアにおいては、そのライフスパン(寿命)を縮めている一因として、やはりこのトキソプラズマが挙げられています。

野生動物を苦しめているのはトキソプラズマだけでは、もちろんありません。ですが、猫や犬などのペットが、彼らにとって大きな脅威になっているのは事実。

犬もまた、野生動物を脅かしています。シドニーにわずかに残されたリトルペンギン達も犬等のペットによって、その命を奪われ、個体数を減らしています。また、散歩途中での排泄物(例え糞は持ち帰るとしても、おしっこはそのままですよね)が土壌や河川を汚染していると指摘する人もいます。

猫や犬が悪いわけじゃありません。人間がその場所には本来いないはずのペット=動物を持ち込むことが問題であり、そうした身勝手な行為が、固有の生態系を壊してきたのです。

放し飼いなんて以ての外! 迷惑を通り越して、自然環境破壊行為だということを飼い主は自覚すべきであり、もし飼うのであれば、自然のルールに従って、できる限り環境に負担をかけないようにするべきなのだと思います。

※トキソプラズマを排泄するのはすべての猫ではなく、初感染した猫だけ。しかも1ヶ月程度の一定期間のみ。と言われていますが、いつでも好きなときに外へ出ている状態だと、いつ、どこでオーシストを拾ってくるかわかりません。ですから、<お願い>猫は家の中で飼いましょう。

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Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
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