本日、2013年7月28日はナショナル・ツリー・デー(National Tree Day)でした。ナショナル・ツリー・デーとは、毎年7月の最終または8月の第一日曜に、この国=オーストラリアならではの固有の樹木・植物を植え、独自の生態系を維持しようという取り組みです。
ナショナル・ツリー・デーは、環境へのダメージ軽減を目的に設立されたボランティア団体「プラネット・アーク」と歌手オリビア・ニュートン・ジョンさんらの提言によって1996年から本格的に始まりました。
現在は、固有植物種の維持保存と外来種の根絶を促す全国イベントとして、毎年、学校や地域のカウンシル(役所)が中心となって、ネイティブ(固有)種の植物の無料配布や植樹イベントなどが行われています。
このイベントを通じ、既に1,600万本以上、今年は約150万本もの固有の植物が植えられ、規模は年々拡大しています。
固有種の植物を無料配布
毎年、ナショナル・ツリー・デーに合わせて、地元のカウンシル(役所)や企業などによる、固有種の植物の無料配布があります。
これは、その地区に住んでいる人であれば、誰でも貰うことができ、自宅に持ち帰って、庭に植えることを目的としています。まずは、個人宅の庭を固有種の植物で覆うことで、その地区独自の生態系を守ろうという取り組みのひとつなのです。
今年は、我が家の近くのショッピングセンターでも配布があったので、早速貰ってきました!
無料で貰うに当って聞かれるのは、自宅の場所(その地区の住民であることを証明するため)と、どんな環境にあるのか、ということ。例えば、同じ町であっても、海沿いと少し内陸に入ったところ、または、平地か高台の斜面などでは、環境が少々異なるためです。
自宅をとりまく環境について係りの人と相談しながら、どの植物がその場所に適しているかを考慮し、いくつかの候補の中から、好みの植物を貰うことができます。
今回、私が選んだのはオーストラリアではお馴染みのボトルブラシ。海沿いの風が強い場所でもたくましく育つ、ネイティブ・ツリーです。ボトルを洗うブラシのような赤い花を咲かせるため、このような名前がついていますが、この花は、固有種のミツスイ系の鳥たちが大好きなので、鳥たちの楽園になることに期待して貰ってきました。
選んだ植物と一緒に、育て方が書かれた紙とその地区の固有種および外来種、雑草などの説明が載ったパンフレットをいただいて帰りました。
自分が住んでいる土地の環境を知る
自分が住んでいるエリアの環境を見つめ、そこにはどんな固有の植物が自生しているのか、そこではどんな生き物たちが生息しているのかを知る。
庭に植える植物ひとつにしても、きれいだからといって外来種である花や木を植えていては、元々固有種の植物に依存していた生き物たちは、どんどんいなくなってしまいます。
人為的に環境を変えてしまうことをできる限りやめ、独自の生態系を維持するよう努める。人間が生態系を壊すのではなく、固有の生き物たちの棲み家を増やしていこうと努力する――
このような取り組みを地域のカウンシルや学校の主導で行うのは、とても素晴らしいことですし、住民が自分が住んでいるエリアの環境について考えるきっかけになるだけでも、このナショナル・ツリー・デーの意義があるのではないかと思います。個人的には、これからも、こうした取り組みを支援・注視していきたいと思っています。
みなさんも、自分の身の周りの環境・生態系について、見つめ直してみませんか?
ナショナル・ツリー・デーについては、こちらのコラムでもご紹介しています。よかったら、どうぞ!⇒ 自然にとけ込む家づくり -住まいに関する厳しい規制-
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
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