再生可能エネルギー:経済効果や雇用創出も考えるなら、風力よりゴミに注目!

電力を多く消費する白熱電球のゴミを訴えるアートオブジェ
標準

 風力発電=環境に優しい再生可能(自然)エネルギーだと主張する人が多い。たしかに、自然に吹いてくる風を利用するのだから、そう思っても仕方ないのだが、風力発電は、これまでも各所で述べてきたように様々な問題を抱えたままだ。

風力発電の問題点

 まず、第一に景観の問題。巨大な風車が列を成して立ち並ぶ姿は美観を損ねる。風力発電先進国ともいえるデンマークでは、山でも海でもどこへ行っても、人工の風車が林立しているのが視界に入ってしまい、どんなに自然と触れあおうとしてもできない…と苦情が出ている。また、風車を立てるために無残に切り開かれた山や道路も問題視されている。

 そして、最も問題視されているのが近隣での騒音被害だ。騒音とは、耳に聞こえる音のことだけではない。人間の耳には聞こえない低周波音も含め、人体への影響も大きい。風車から近い場所での頭痛、発熱、不眠症はもとより、1km以上離れた場所で音が聞こえないにも関わらず、「寝付けない。眠れない。目が覚めてしまい、船酔いのような気持ち悪さを覚える」という人もいる。

 また、人間よりもさらに敏感な小動物への影響は計り知れない。鳥類の衝突が真っ先に上がる問題だが、衝突せずとも死に至らしめる事態も発生している。カナダの風力発電施設周辺では、外部損傷のないコウモリの大量死が報告され、風力発電の是非が問われている。

 ならば陸上じゃなく、海上ならいいではないか?という意見も短絡的だ。イギリス近郊の海洋上に作られた風力発電施設周辺では、魚がいなくなって漁業が打撃を受けたり、イルカなどの大型海洋ほ乳類も姿を消した。中には死因不明で陸に打ち上げられたものもいたという。

 このように、風力発電は今のところ、景観を含めた環境への影響は甚大。その上、風力発電先進国デンマークでさえ、風力でもバイオマスでも賄いきれず、スウェーデンの原子力でつくった電気を一部とはいえ買っているという事情がある。しかしながら、世界では「風力発電=環境に優しい再生可能エネルギー」という面だけが誇張され、それを全面に出して莫大な資金を注ぎ込み、風力開発に力を注ぐ国や企業も少なくない。日本もしかり、だ。

風力発電問題へさらなる一石を投じる英国環境団体

 一昨日の6/12、この問題にさらなる一石を投じる論文が発表された。イギリスのEnvironmental Services Association(環境サービス協会)が発表した『緑の成長:ゴミを見逃さないで』だ。

 この英国環境サービス協会は、これまでもゴミに注目してきた環境団体で、ゴミの削減、リサイクル、活用を個人だけでなく、企業ベースで考えていこうという趣旨で発足された。この度発表された論文は、「風力発電に投じるお金があったら、ゴミに注目せよ」という、まさに今盛んに叫ばれ、注目を集める『再生可能エネルギー』の開発、新規着工への警告ともいえる内容になっている。

風力発電と同等費用で様々なメリットを生むゴミ

 簡単に説明すると、風力発電に必要な膨大な資金をそのままゴミ問題に投じることで、さらなる雇用と経済発展、環境保護、その上、僅かながらも発電さえ可能というものだ。

 例えば、1兆ポンドの資金を投じる場合:

<海洋設置型風力発電事業>
=削減できるカーボン(炭素)年間約1,400,000トン。650人の分の雇用。創出できる電気量3,250ギガワット。

<近代的なゴミ焼却及びリサイクル事業>
=削減できるカーボン(炭素)年間約4,000,000トン。3,000人の分の雇用。創出できる電気量300ギガワット。さらに、リサイクル品仕分け徹底による1,400,000トンのリサイクル資源確保。

英国環境サービス協会が提唱するゴミのあり方

 これだけメリットがあるにも関わらず、一国の政府機関さえ、目先が新しく、いかにも環境保護に尽力しているかのような印象を与える風力発電を主体とする再生可能エネルギーにばかりに目がいってしまうことは、非常に嘆かわしい事態だと英国環境サービス協会は主張する。

 彼らも決して、風力発電を否定しているわけではない。ただ、そこまで莫大な資金を注ぎ込む余裕があるなら、ぜひとも政府レベルでもう一度ゴミ問題に着目して欲しいと願っているという。

 ゴミ問題はおそらくどの国でも深刻な問題だろうと思う。人間が生活する限り出る、膨大なゴミ。それを減らし、さらに生かすためにどうするか?ゴミ問題こそ、人類が解決しなければならない最重要課題ではないだろうか。
 …つまり、自分のケツは自分で拭け…ってことですね。。

【参考】

※執筆日:2011年6月14日

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住18年。詳細なプロフィールはこちら。
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