恐怖の暗闇トイレ -完結編-

西オーストラリアの荒野を行く!
標準

な~んにもないアウトバックの国立公園の真っ暗なキャンプ場のトイレに足を踏み入れ、便器のあるほうへと1歩踏み出した――
と、前回ここまで終わったところ。

(もっと早く続きをと思っていたのだけど、なんだかんだと立て込んでいてなかなか書けず…でした…。期待していた方がいらっしゃったら、ゴメンナサイ!)
–ここから前回の続きです–

真っ暗なトイレの中を小さな懐中電灯の明かりだけを頼りに一歩ずつ、確認しながら前へ進む。

あれれ?なんだか足がチクチクするような??
ひえぇ~~、い、痛いっっーー!!

自分の足に異変を感じ、懐中電灯で足元を照らしてみると…
そこに見えたものは、真っ黒な塊!い、いや、よく見ると小さな黒い粒の集まりだ!
なんじゃこりゃ~ぁぁぁーー!

チクチクと痛くてたまらない自分の脛に明りを向けると、3mm程度の小さな黒アリが数十匹食らいついていた。

暗さに慣れてきた目でよく見てみれば、自分の足元に何万匹、いや何十万匹とも思える大量のアリが群がっているではないか!!

ソイツらが一斉に私を目指して足元から這い上がっていたのだ。こんな辺鄙なアウトバックで、「こりゃあ久しぶりにでっかい獲物だ」とでも言っているかのように…。

その様は、まるで映画Mummy(日本名タイトル:ハムナプトラ 失われた砂漠の都)のスカラベ(ふんころがし)の大群に襲われるシーンそのもの。

映画の中では、体一面に食らい付いた大量のスカラベが人間を食いつくし、後に残るのはミイラ…という設定だったっけ…(- -;。うわっ、、(絶句)

思わず便器の上へと逃げる。
が、どこでも自由自在に移動できるアリだから、当然どこまでも追いかけてくる。黒い帯がトイレの中を川の流れように移動するのが見える。

だ、誰か助けて~!…と、叫ぼうにも叫べるはずもない。
トイレの外は、不気味なほど静かで穏やかな時が流れる国立公園のキャンプ場。
まさか、トイレの中でアリの大群に襲われて悪戦苦闘している日本人がいることなど、誰も想像もしていないだろう。

西オーストラリア内陸のこの辺りは、太古の昔には海だったらしい…

西オーストラリア内陸のこの辺りは、太古の昔には海だったらしい…

こうなったら自己防衛に出るしかない!自分の足に食らい付くアリを叩き殺すのだ。

真っ暗なトイレの便器の上で、できる限りアリに這い上がられないように飛び跳ねながら、足のそこかしこを当てもなく叩きまくる。トイレの中には、自分の足を叩くペチペチという音と、便器の上でバタバタと飛び跳ねる音だけが虚しく響く…。

とにかく暗くてよく見えないから、どこでもいいから叩いてアリを払い落とし、相手がひるんだ隙にトレイから脱出!成功!!
こうして、暗闇トイレの恐怖からようやく開放されたのだった。

-END-

しかし、思い出したくもないけれど、客観的に見てみるとかなり笑える光景だったろうなぁと思う。なんせ、便器の上でぴょんぴょん飛び跳ねながら、自分の足をむやみやたらと叩きまくる女、ですから(爆)。そりゃ相当笑えますな。あぁ、もう二度とカンベンして欲しいです…(^^;

そういや、前にもアリにヤラれていたのだった…(- -;
もう、アリ大嫌いっ!

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

恐怖の暗闇トイレ -前編-

西オーストラリアの荒野を行く!
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取材から戻ったら知らないうちにシドニーは夏時間になっていた…。

海外へ行ってきたわけではないのに時差があり、さらにシドニーのあるニューサウスウェールズ州のようにデーライト・セービング(夏時間、冬時間の切り替え)制度を導入している州としていない州があるため、国内でありながら西と東を行ったり来たりすると、時間的な混乱が生じてしまう。

行ってきたのは、お隣はアフリカ!という西オーストラリア州。

アフリカ大陸からの熱い風と、ここオーストラリア大陸の中心で温められた砂漠の熱風が吹き荒れる(?)灼熱の土地だ。

西オーストラリア州に降り注ぐ太陽は、東側のシドニーなんかとは比べ物にならないほどジリジリと暑い。
「ああ、太陽に焼かれている…。焦げてる…」とマジで思うほど、暑いとか熱いという感覚を通り越して“痛い”のだ。

そんな西オーストラリア州の州都パースから北上し、とある国立公園内のな~んにもないキャンプ場で夜を明かすことに。
キャンプ場とはいえ、単に車が停められるように整地してあるのと簡易のピット・トイレ(つまり、ぼっとん便所ってやつ)があるだけだ。

日没までになんとか国立公園まで入ろうと、猛スピードで4WDのキャンパー(キャンピング・カー)をを飛ばし、日の入りほんの数分前というギリギリのタイミングで目的地のキャンプ場へ到着。

束の間、夕暮れの風景を眺めた後、速攻で食事の支度をはじめる。電気も水もない僻地では、日が暮れたら真っ暗で何もできないからだ。

水はタンクに十分積んできたはずだが、シャワーなどが使えるはずもなく、食事もできる限り水を使わないもので済ませるようにし、食べたらさっさと寝る。

それが、ブッシュでの掟。
とはいえ、こうしたアウトバックでは夜空がとてもキレイなので、夕食後、夕涼みを兼ねた星空観測とあいなった。

シルエットになった岩と岩の間にいくつもの星が流れ、頭上には数え切れないほどの星が瞬いている。なんとも幻想的で美しい光景――

な~んて、ロマンティックな気分に浸っている場合ではない!

夜遅くまで起きていたらトイレに行きたくなるじゃないか!!

別にピット・トイレが不潔だとか、そんなことを言っているわけではなく、こういう静かな場所の真っ暗なトイレに行くのが単に嫌なのだ。

暗さに関しては一応懐中電灯を持っていくので多少の解決にはなるけれど、なんたってシーンと静まり返った夜の(ぼっとん)トイレってのはちょっとキツイでしょ…(^^;

とはいえ、自然の生理現象を止めることなど誰にもできるはずもなく、仕方なくトイレへと向かう。

小さな懐中電灯を照らし、錆び付いたトタンのドアを開けると、ギギーっという鈍い音がその辺り一帯にコダマする。

ああ、憂鬱…。

しかし、そんな憂鬱な気分に浸っていられるのはほんの数秒間だけだった!

トイレに足を踏み入れ、便器のあるほうへと一歩踏み出すと――――

…というわけで、本当の恐怖が始まったのでありました。
この続きは後編で。(^^)/~

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Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
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世界一マズい味噌汁

世界一マズイ味噌汁
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「一番好きな日本の食べ物は味噌汁!」そう言い切ったのは、メキシコで出会ったメキシコ人だった。

鼻の下にモサモサとした口髭をたくわえた、メキシコ人中のメキシコ人な風貌をしたそのおっさんは、その昔、広島に留学していたのだそうだ。その時毎日食べていた味噌汁の味が忘れられず、今でも毎朝、メキシコで味噌汁を作って食べているという。

味噌汁。それはたしかに日本を代表する味。湯気と共にふわんとあがってくる味噌の芳ばしい香り、程よくマッチした具、そしてしっかりとダシの効いた汁。この3点がすべて揃って、旨い味噌汁が出来上がる。

薫り高い高級な味噌を使えば、もっと味もよくなるのかもしれないけれど、海外ではそんな高価な味噌は売っていない。とはいえ、ごくごく一般的な袋入りの味噌でもダシさえしっかりとれば、そこそこ美味しい味噌汁にありつける。

そんなわけで、日本通なオージー達も注目し始めている味噌汁。

近所のスーパーでも味噌やお手軽なインスタント味噌汁を扱い始めた。とはいえ、こうした傾向はまだまだ都会の一部に限ったことのようで、アウトバックと呼ばれる僻地では、味噌汁どころか未だに米さえも食べたことがないと言う人も多い。

少し前に訪れたアウトバックのキャンプ場のオーナーから、レジ袋いっぱいの日本食料品をいただいた。

「この前研修に来た日本人が置いていったんだけど、どうして食べたらいいのかわからないの。それに、なんだか勇気もいるし(苦笑)」

しばらくぶりにやってきた日本人の私達を見るや否や、待ってました!とばかりに袋を差し出した。

袋の中には、乾麺のうどんやインスタント味噌汁が入っていた。見るとそれらには、日本語の説明は一切書いていない。とくにインスタント味噌汁のほうは、デザイン的にも日本らしきものすら描かれてはいない。

商品名は『White MISO -Instant Moso Soup with Tofu』。下のほうには「MADE IN JAPAN」と記載がある。なのに、日本の製造所の社名や住所などは一切なく、オーストラリア国内の連絡先だけが記載されているのみ。

Exclusively for SPIRAL FOODS

本当にメイド・イン・ジャパンなのか怪しい…

本当にメイド・イン・ジャパンなのか怪しい…

住所は、ビクトリア州リッチモンド。なんだか怪しい…
本当にメイド・イン・ジャパンなの?と、疑わしさプンプンだ。

でもまあ、せっかくいただいたわけだし、いつ買ったものかはわからないけど、アルミパックで生味噌ではなく乾燥しているのだから大丈夫だろうと、お湯を注いでみた!

出来上がったのは、小さな豆腐のかけらもどきと乾燥ネギがヒラヒラと漂う質素な味噌汁。

見た目は一応味噌汁(いまどきはインスタントでもこんな粗末な(?)味噌汁は滅多にお目にかかれないけれど)に見えるので、とりあえず一口。

世界一マズイ味噌汁

世界一マズイ味噌汁

………(しばし無言)………

ま、まずーっ!!
ムチャクチャ不味いっ!!!

こんな不味い味噌汁生まれて初めて。思わず噴出すかと思った…。

まず、味噌の香りがない。そしてダシの味は一切と言っていいほど感じられない。これ、本当にお味噌汁なの?と聞きたくなるシロモノ。

こんなのをオージーが食べて、「これが味噌汁か~」なんて思ったら気の毒だ。いや、日本人としてちょっと許せないかも。

最初食べた時は、アウトバックの水が不味いからでは?とも思ったけれど、懲りもせず再度シドニーで作ってみても、やっぱり不味かった…。

この味噌汁の右に出る味噌汁は、世界中探したってそうそうないだろう。不味さにかけては…(^^;

本当にメイド・イン・ジャパンなのだろうか??

※この会社、ベジタリアンやオーガニック食品などを専門にしているようで、この商品もまだ販売しているよう。オーストラリア国内のスーパーで見つけても、「あ!味噌汁だ。日本製だし大丈夫だろう」などと、決して手を出しませぬよう。もうホント、ビックりするほどマズいですから~(- -;。

SPIRAL FOODS

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