オーストラリアの地熱、26,000年分の電力供給が可能

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 温泉らしい温泉もほとんどなく、活火山は人の住んでいない遠く離れた孤島にあるだけで、火山ともほぼ無縁のオーストラリア。そんなオーストラリアでも、地熱発電を試みている地区がある。

 クイーンズランド州南西部、赤土の広大なシンプソン砂漠に面した町バーズビルには、オーストラリア唯一の地熱発電所がある。自然湧出する熱水(温泉)の蒸気を利用した『ウェット方式(対流型地熱資源)』で、80キロワットの発電力を有し、町の4分の1の世帯に電力を供給している。

 とはいえ、オーストラリア全体の電力供給量からすれば、わずか1%程度にすぎない。それほど、この国にとって地熱は、馴染みのないエネルギー源でもある。

オーストラリアの地熱に26,000年分の発電力

 ところが2008年、オーストラリア政府は意外な調査結果を発表をした。それは、これまで手が付けられてこなかった地熱エネルギーに、なんと26,000年分もの発電力が潜在しているというもの。

 オーストラリアは世界有数の石炭輸出国であり、国内の77%の電力は石炭による火力発電だ。そんな国の大陸奥深くに眠るクリーンなエネルギーの驚くべき潜在力を知り、オーストラリア政府は5000万豪ドルを研究および技術開発費に投入すると発表した。(2008年8月20日ロイター記事

 豪地熱エネルギー協会=AGEA(Australian Geothermal Energy Association)によれば、この新しい地熱発電によって2020年までに、2,200メガワットのベースロード電力(常に使っている需要電力)供給が可能であると予測。これを受け、オーストラリア政府は、再生可能エネルギーの目標を40%とし、全国需要電力の20%に当たる毎時45,000ギガワットの発電を目指す考えだ。ちなみに、2020年までに、再生可能エネルギーで2,200メガワットのベースロード電力を生み出すために費やすコストは、120億豪ドルに達すると試算されている。

温泉いらずの地熱発電、ホット・ドライ・ロック方式=高温岩体発電

地熱発電・ホットドライロック方式 地熱発電は、日本やニュージーランドでよく見られ、上記のバーズビルでも行われているような熱水=温泉水からの蒸気を利用するものが一般的。しかし、オーストラリアが新たに取り組んでいる地熱発電は、『ホット・ドライ・ロック(高温岩体発電)』と呼ばれる方式で、地下で熱せられた高温の岩石に水をかけて水蒸気を発生させ、タービンを回して発電する仕組みだ。そして、さらに場所によっては『バイナリー方式(参照)』も検討されており、環境への影響は最小限でCO2排出もほとんどなく、24時間365日の発電が可能だという。

 日本における地熱発電では、掘削により、温泉の質が変わってしまう、または枯渇してしまうのでは?という問題がつきまとう。しかし、このホット・ドライ・ロック方式は、温泉資源とは無関係なため、そうした問題とはほぼ無縁だ。(参照:温泉と共存できるか?産業技術総合研など、地下600メートル掘削へ -毎日新聞 2012年1月17日付け)

 また、地下で熱せられた岩盤の熱のみを利用するため、石油や石炭のように枯渇する資源ではないのが特徴。利用する熱は地球深部のマグマで温められたものであり、マグマが急速に冷えない限り、比較的短期間に回復する。つまり、熱を取りすぎたために、その場所から永遠に熱がなくなってしまうということはない。ほぼ無限に存在する、地底に眠る膨大な熱エネルギーといえる。

南オーストラリアで始まった地熱発電試験プロジェクト

 クイーンズランド州境付近の砂漠地帯、南オーストラリア州イナミンカ地区で、このホット・ドライ・ロック式の発電試験プロジェクトが始まっている。正式稼働すれば、廃棄物を一切出さずに原子力発電所10基分に当たる、10,000メガワットの電力生産が可能だという。

 「Geothermal industry pushes for more power」と題して2011年7月6日に放送されたABCニュースでは、冒頭のバーズビルの地熱発電所と、この南オーストラリア州での試験プロジェクトを紹介している。


 原発に依存しないエネルギーとして、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが注目される中、CO2をほとんど出さず、最もクリーンで安定供給が可能な「地熱」。オーストラリアよりも利用が容易で技術的にも優れている日本こそ、地熱発電のあらゆる方面からの可能性に挑戦し、世界にお手本を示して欲しいと思う。

【関連コラム】 日本こそ、世界一の地熱発電先進国に!
         原発29基分の再生可能エネルギー、日本の高温岩体地熱発電

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エコレポ新シリーズ「オーストラリアの野生動物保護」始まりました!

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 財団法人環境情報センターが運営する環境を考えたエコライフを応援するサイト『エコナビ』内で7回に渡ってお届けしてきた『自然と共存するオーストラリアの住まい』が一区切りし、今月より新シリーズ『オーストラリアの野生動物保護』が始まりました!

 ゴンドワナ大陸から引き継いだ自然が残るオーストラリアに生息する、他の大陸にはみられないユニークな動物たちを政府や自治体をあげて保護しようとしているオーストラリア。

 その大きな原動力となっている民間ボランティアの活動を通じ、この国で行われている野生動物保護の実態をご紹介したいと思っています。私自身が体験した保護活動や固有種の個体数減少問題も取り上げていく予定です。

 その第一回では、私もボランティアとして携わるオーストラリア最大の野生動物保護団体WIRESの取り込みなどをご紹介しています。

★エコレポ・オーストラリアの野生動物保護 Vol.1「オーストラリア最大の野生動物保護団体

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水は記憶する

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 水は単なる液体なのだろうか?それとも、それ以外にもっと何かあるのだろうか?

 今、多くの研究者たちは、水の研究に取り組んでいる。その結果、水がたくさんの情報を取得し、格納することで、「記憶」が可能だと確信している。水は無限の可能性を秘めている、という。

Water — just a liquid or much more? Many researchers are convinced that water is capable of “memory” by storing information and retrieving it. The possible applications are innumerable: limitless retention and storage capacity and the key to discovering the origins of life on our planet. Research into water is just beginning.

 この映像では、同じ水から採取された一滴の水が、まるでコピーされたように、最初に作られたものと同じ結晶模様を次々と保っていくことが見てとれる。

エセ科学との境目

 1988年、科学雑誌ネイチャーに発表された一つの論文から、科学界を騒然とさせる事件が起きた。それは、フランスの国立衛生医学研究所(INSERM) のジャック・ベンベニスト/Jacques Benveniste博士らによって書かれた「極度に希釈した抗血清中の抗IgE抗体によって引き起こさせるヒトの好塩基球の脱顆粒化/Human basophil degranulation triggered by very dilute antiserum against IgE」という医学論文の最後に添えられた結論、

 「希釈水は生理活性物資の性質を保持していた。ゆえに水には記憶力がある」

 というもの。

 博士らは、「抗血清を水で希釈すればするほどその効力は弱まり、やがてゼロになる」という従来の見解を覆す実験結果(つまり、希釈を繰り返してもゼロにはならず、活性が認められた=“高度希釈活性”)を得たと主張。当時の科学界は当然のごとく、「水にそんなことが、あろうはずはない」と、博士ら研究グループとその論文を掲載したネイチャー誌を攻撃した。後にネイチャー誌は、独自調査を行って訂正を入れることになる。

 この事件後、「水が記憶する」というのは非科学的、つまりでたらめな「エセ科学」として結論付けられた格好となり、ベンベニスト博士は仏科学界から排斥されてしまう。この事件のいきさつは、このあたりに詳しい⇒ 水と原子:水の記憶事件 by 建築家・鈴木 エドワード ブログ、“水の記憶”を示す高度希釈実験

 しかし、ベンベニスト博士だけでなく、「水は情報を記憶することができる」「水のように特異な性質を持っている分子は他にはない」とする見解は次々と現れ、その研究に力を注ぐべきだと主張する研究者も少なくない。(参照

 とはいえ、ベンベニスト博士が、その効果が科学的に証明できないとされる民間療法「ホメオパシー」の第一人者として知られることもあってか、この「水の記憶」を含め、しばしば、トンデモ系に括られてしまっているのが現状だ。「水の記憶」概念を利用した怪しい団体も少なからず見受けられる。

#ちなみに、私自身はホメオパシーの効果・効能について言及するつもりはないが、自己治癒力を高めることは、病気の治療には大切なことだと思っている。

水が留める地球の記憶

 ・・・と、このへんで、「水」の性質に関わる科学的論拠は、さておき……私が言いたいのは、科学的にどうのという話ではない。では何を言いたいのか、というと、

 少なくとも「水」は、私たち人類が誕生する前から、地球上に存在し、蒸発して雲になった後も再び雨となって大地に注がれるという現象を繰り返している、という事実。これは、私たちよりも遥かに地球の記憶を留めているといえるのではないだろうか?

 “生命の源”と言われ、私たち人間だけでなく、地上のすべての生命体にとって欠かせない『水』。それは必ずや、私たちの惑星の生物誕生の鍵を握っているはず。

 あまりに身近にありすぎて、その存在すら見落としてしまいがちな「水」について、私たち人類は、もう少し関心を寄せる必要があるのではないか。水の研究は、まだ始まったばかりだ。

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地球を襲うひとつの現象 『グローバル・ディミング=地球暗化/地球薄暮化』

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(すっかりサボっちゃってたのですが…本日再開。といっても、今回は2005年に某メディアサイトに寄稿したコラムの手直しですが…今もう一度注目してみおきたい話題だと思うので、少し手直しして再掲)

 地球温暖化=グローバル・ウォーミングのことばかりが取り沙汰され、「温室効果ガスを抑えさえすれば地球の温暖化は制御でき、再び住みやすい地球 になる」といった感じにとらえられがちだが、実は、温暖化の裏でもうひとつの現象『Global Dimming/グローバル・ディミング=地球暗化、又は地球薄暮化』が起こっていることがわかっている。

 グローバル・ディミングとは、大気中に無数に放出された塵や埃など、地球の表面を覆う汚れた大気、大気中の微粒子(エアロゾル)がつくり出す雲が、太陽光を阻んでしまうことで地表に到達する太陽光が減少している現象だ。研究チームの調査結果によれば、10年で約3%ほど減少しており、これは過去50年間で1日の太陽照射時間が約1時間ほど減少したことを意味しているのだとか。

 汚れた大気が原因のひとつなのだとしたら、やはり、CO2をはじめとする温室効果ガス削減等で、大気を汚す物質を減らしたほうがいいのでは?と思うかもしれないが、一足飛びにそうとも言い切れない。なぜならば、普通に考えれば、グローバル・ディミングは太陽光が届きにくくなるのだから、地球は冷却化してしまうはず。それでも尚、地球上の気温は上昇していたのだから…

グローバル・ディミングがグローバル・ウォーミング=温暖化を食い止めている!?

 グローバル・ディミングに注目するよう警鐘を鳴らす専門家は多い。2005年に英国国営放送のBBCにより制作されたドキュメンタリー番組「Horizon」でも取り上げられ、ここオーストラリアでも放送と同時に大きな話題となった(※ページ下に動画あり)。

 地球が置かれている状況に関する新しい見解― それは、グローバル・ディミングによって太陽光が減少することで、温暖化がそれほど進まずに済んでいるのではないか?ということ。本来なら、人類が排出する温室効果ガスで気温がどんどん上昇しまうところ、グローバル・ディミングにより、地表に太陽光が届きにくくなっていることから、それほど気温が上がらずに済んでいるのかもしれないという。

 これが事実だとすれば、世界規模でCO2を減らすクリーンなエネルギーを利用すればするほど、大気中の煤塵(ばいじん)も減少することとなり、地表に届く太陽光が増え、温度はうなぎのぼりに上昇していくことになる。

 先の研究チームの試算よれば、このままいくと、今世紀末までには最高10度は気温が上がり、地球上の一部では人類が生活さえできなくなるという。つまり、地球温暖化を抑えようと、世界中の人々がクリーンなエネルギーを導入する努力がかえって逆効果に繋がりかねない…という、なんとも皮肉な現象が起こっているというのだ。

 このような、CO2をはじめとする大気汚染のもととなる排出物を減らすと温暖化が加速する、という見解は後を絶たない。

  • Reducing emissions could speed global warming/排出を減らすことで温暖化は加速する ・・・英テレグラフ紙に2007年10月29日に掲載されたガイア説提唱者のジェームズ・ラブロック博士によるコラム

 …とはいえ、そもそも温暖化しているのか?気温上昇してきたのはただ単に、地球がこれまでも繰り返してきた寒冷期と温暖期の、温暖期に入っていただけではないのか?というのが、私自身の本音ではあるのだけれど。ただ、ひとつ強く感じているのは、グローバル・ディミングは確実に起こっているのではないかということ。

 シドニーは今夏2011-2012、雨が多く、雲りがちな日が目立つ。これまで見られたような、真っ青な空にお目にかかれた日は少ない。なんとなく薄ぼけた、ぼんやりとした空や雲の多い空が増えている。これもグローバル・ディミングのせいなのか…と思ってしまう今日この頃。。。

【あわせて読んでおきたい記事】
Goodbye sunshine/さようなら太陽の光 ・・・英ガーディアン紙2003年12月18日に掲載されたグローバル・ディミングを取りあげた記事(日本語訳のページがあったのこちらにリンク置いておきます。中身=翻訳された文章については検証してませんので、ご自身の判断でお読みください)

※このコラムは、平野美紀が2005年4月20日に初めて執筆し、2012年2月22日に加筆・修正したものです。

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オーストラリアの先住民族アボリジニの暮らしと考え方 ~自然と共存するオーストラリアの住まい

オーストラリアの先住民族アボリジニの暮らしと考え方
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 エコナビで連載中のコラム「自然と共存するオーストラリアの住まい」が更新されました!

 第7回はこのシリーズ最終回。タイトルは「オーストラリアの先住民族アボリジニの暮らしと考え方」です。自然界と調和して生き、自然への畏敬の念を忘れずに暮らすことこそが、本当の幸せをもたらすと考えているオーストラリア先住民族アボリジニの日人々についてご紹介しています。

 アボリジニと一口で言っても、数千もの部族があると言われ、それぞれ異なる風習や文化を持っていますが、すべての部族が共通して持つ『天地創造の神話』が彼らの心のベース。彼らにとって本当の家は、『人間が生まれ育った大地』なのだそうです。

 太古の昔から営々と受け継がれてきた、『人類にとってもっとも大切な基本理念=スピリット』が息づくアボリジニの人々のシンプルな暮らしと精神を感じてみてください!

★エコレポ Vol.7 「オーストラリアの先住民族アボリジニの暮らしと考え方

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気候変動は確実に起きているが、温暖化は疑問

シドニーで実った果樹
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 年間を通じ、温暖なシドニー沿岸部では、柑橘類やビワなどの温暖な気候に適した果実以外は結実しないと言われている。それは、主に北半球なら北の地などで育つ果樹の場合、芽が休眠から覚め、開花するために、ある程度の低温期間(休眠期)が必要と言われているからだ。

 とくに冬場にグッと冷え込むことが必要とされる果実は、氷さえ張らないシドニーの温暖な気候では結実しない…というのが、なかば常識。我が家には、プラムと桃の木があるが、事実13年間一度も実が生ったことはないし、この地に50年以上住んでいるお隣のおばあちゃんも「それは桃の木だけど、実はならないからねぇ」と言うのが口癖だった。

 ところが今年、あろうことか桃もプラムも実をつけたのだ!

シドニーで初めて実ったプラム

 思い返せば、たしかに今冬(オーストラリアは南半球のため、冬は6~8月頃)は、これまでになく寒かった。氷こそ張らなかったが、今冬3か月間の暖房代が900ドル(約7万2千円)を超えたという家庭もあったほど。

 そう、今年の冬の冷え込みはハンパじゃなかった!あれは到底、温暖化しているとは思えない。むしろ、寒冷化なのではないかとさえ思えてくる。

 しかし、研究者たちはこぞって、「温暖化による果樹への影響」を強調し、「栽培適地が北上し、今世紀後半には現在の主産地で栽培が難しくなる」と警鐘を鳴らす。

 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所が発表している『温暖化が果樹生産に及ぼす影響と適応技術』のレポートでは、以下のような点を懸念材料として挙げている。

  • リンゴ、ウンシュウミカン、ブドウの果実着色不良、果実軟化、貯蔵性低下、ほとんどの樹種で発生する日焼けなどの果実障害の問題がすでに顕在化
  • 休眠期の温暖化により、施設栽培での発芽不良、地域によっては凍霜害などが増加

 また、地球環境研究センターによるレポート『温暖化の影響が顕著な果樹生産』でも以下のように指摘している。

  • 農業は環境への依存度の高い産業であり、地球温暖化による農業、とりわけ気候への適応範囲が狭い果樹栽培へのインパクトが懸念されている
  • 気温上昇が直接、生育に影響を与える果樹栽培では、栽培適地が大きく北上する可能性がある
  • すでに現れている温暖化の影響:着色不良・果実肥大・休眠不足・害虫北上

 この他にも、温暖化で果樹への影響、とりわけ栽培地が北上すると断言するレポートは枚挙にいとまがない。

 地球が温暖化しているというのならば、ではなぜ、これまで温暖な気候で冬場に冷え込みが厳しい寒冷地でしか育たなかったはずの果樹が、シドニーで実をつけたのか?という疑問が残る。

 また、日本でも寒く厳しい冬と猛暑の夏になっていると聞く。アメリカやヨーロッパなどでも、同じエリアなのに冬は豪雪、夏は猛暑など、異常な気候に見舞われている。

 つまり、地球は全体的に気候が変わってきているものの、『温暖化』しているのではなく、『極端化』しているだけなのではないのか?

 しかし、世界の流れとして、どうしても『温暖化』にしたい理由があるのだろう。それは、人間が排出する二酸化炭素の削減を実行するため。そのために、原発を推進したり、排出権取引に絡む利害関係や炭素税導入など、世界中の一部の利権者達にとって、オイシイ策を実現させるため、としか思えないのだけど……

【参考】

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自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
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