エコレポ新シリーズ「オーストラリアの野生動物保護」始まりました!

標準

 財団法人環境情報センターが運営する環境を考えたエコライフを応援するサイト『エコナビ』内で7回に渡ってお届けしてきた『自然と共存するオーストラリアの住まい』が一区切りし、今月より新シリーズ『オーストラリアの野生動物保護』が始まりました!

 ゴンドワナ大陸から引き継いだ自然が残るオーストラリアに生息する、他の大陸にはみられないユニークな動物たちを政府や自治体をあげて保護しようとしているオーストラリア。

 その大きな原動力となっている民間ボランティアの活動を通じ、この国で行われている野生動物保護の実態をご紹介したいと思っています。私自身が体験した保護活動や固有種の個体数減少問題も取り上げていく予定です。

 その第一回では、私もボランティアとして携わるオーストラリア最大の野生動物保護団体WIRESの取り込みなどをご紹介しています。

★エコレポ・オーストラリアの野生動物保護 Vol.1「オーストラリア最大の野生動物保護団体

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

水は記憶する

標準

 水は単なる液体なのだろうか?それとも、それ以外にもっと何かあるのだろうか?

 今、多くの研究者たちは、水の研究に取り組んでいる。その結果、水がたくさんの情報を取得し、格納することで、「記憶」が可能だと確信している。水は無限の可能性を秘めている、という。

Water — just a liquid or much more? Many researchers are convinced that water is capable of “memory” by storing information and retrieving it. The possible applications are innumerable: limitless retention and storage capacity and the key to discovering the origins of life on our planet. Research into water is just beginning.

 この映像では、同じ水から採取された一滴の水が、まるでコピーされたように、最初に作られたものと同じ結晶模様を次々と保っていくことが見てとれる。

エセ科学との境目

 1988年、科学雑誌ネイチャーに発表された一つの論文から、科学界を騒然とさせる事件が起きた。それは、フランスの国立衛生医学研究所(INSERM) のジャック・ベンベニスト/Jacques Benveniste博士らによって書かれた「極度に希釈した抗血清中の抗IgE抗体によって引き起こさせるヒトの好塩基球の脱顆粒化/Human basophil degranulation triggered by very dilute antiserum against IgE」という医学論文の最後に添えられた結論、

 「希釈水は生理活性物資の性質を保持していた。ゆえに水には記憶力がある」

 というもの。

 博士らは、「抗血清を水で希釈すればするほどその効力は弱まり、やがてゼロになる」という従来の見解を覆す実験結果(つまり、希釈を繰り返してもゼロにはならず、活性が認められた=“高度希釈活性”)を得たと主張。当時の科学界は当然のごとく、「水にそんなことが、あろうはずはない」と、博士ら研究グループとその論文を掲載したネイチャー誌を攻撃した。後にネイチャー誌は、独自調査を行って訂正を入れることになる。

 この事件後、「水が記憶する」というのは非科学的、つまりでたらめな「エセ科学」として結論付けられた格好となり、ベンベニスト博士は仏科学界から排斥されてしまう。この事件のいきさつは、このあたりに詳しい⇒ 水と原子:水の記憶事件 by 建築家・鈴木 エドワード ブログ、“水の記憶”を示す高度希釈実験

 しかし、ベンベニスト博士だけでなく、「水は情報を記憶することができる」「水のように特異な性質を持っている分子は他にはない」とする見解は次々と現れ、その研究に力を注ぐべきだと主張する研究者も少なくない。(参照

 とはいえ、ベンベニスト博士が、その効果が科学的に証明できないとされる民間療法「ホメオパシー」の第一人者として知られることもあってか、この「水の記憶」を含め、しばしば、トンデモ系に括られてしまっているのが現状だ。「水の記憶」概念を利用した怪しい団体も少なからず見受けられる。

#ちなみに、私自身はホメオパシーの効果・効能について言及するつもりはないが、自己治癒力を高めることは、病気の治療には大切なことだと思っている。

水が留める地球の記憶

 ・・・と、このへんで、「水」の性質に関わる科学的論拠は、さておき……私が言いたいのは、科学的にどうのという話ではない。では何を言いたいのか、というと、

 少なくとも「水」は、私たち人類が誕生する前から、地球上に存在し、蒸発して雲になった後も再び雨となって大地に注がれるという現象を繰り返している、という事実。これは、私たちよりも遥かに地球の記憶を留めているといえるのではないだろうか?

 “生命の源”と言われ、私たち人間だけでなく、地上のすべての生命体にとって欠かせない『水』。それは必ずや、私たちの惑星の生物誕生の鍵を握っているはず。

 あまりに身近にありすぎて、その存在すら見落としてしまいがちな「水」について、私たち人類は、もう少し関心を寄せる必要があるのではないか。水の研究は、まだ始まったばかりだ。

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

2つの異なる気候地区のユニークな住まい ~自然と共存するオーストラリアの住まい

エコナビ「2つの異なる気候地区のユニークな住まい」
標準

 エコナビで連載中のコラム「自然と共存するオーストラリアの住まい」が更新されました!

 第6回は「2つの異なる気候地区のユニークな住まい」。オーストラリアは湿潤な熱帯気候から砂漠まで、多種多様な気候が入り混じる島大陸です。異なる気候帯で育まれてきた、昔ながらの住まいをご紹介しています。

 共通しているのは、その土地の気候や自然をうまく取り入れて生かしていること。快適で暮らしやすい家のヒントは、身近な自然を見つめることにあるのかもしれません。

 今回の記事制作にあたり、2つめにご紹介している「クイーンズランダー」の家の写真は、知人のエコガイド・藤井 慶輔さんが撮影してきてくださいました!藤井さんはゴールドコーストでエコツアーのガイドをしていますが、知識も経験も豊富な最高のエコガイド。もしゴールドコースト方面へ行かれることがあったら、ぜひ、彼のツアーに参加してみてください。(藤井さんのブログはこちら

★エコレポ Vol.6 「2つの異なる気候地区のユニークな住まい

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

温暖化にだまされるな!地球は今、氷河期に向かっている!?

映画「デイ・アフター・トゥモロー」は現実になる!?
標準

 「ストップ温暖化!地球を守ろう!」といったようなスローガンを掲げ、一心不乱に温暖化問題をことのほか『一大事』であるかのごとく、大きく取り上げる環境運動家たち。私は環境問題には関心あるが、温暖化問題に対する今のありようだけは容認できない。

 個人的には、温暖化という『宗教団体』にしか見えなかったが、どうもそれが正しかったような雰囲気になってきた。それは先日7/8の記事「地球は1万2千年のダイエットを経て、再び太ってきている(膨張してきている)」というもの。

地球が太ると寒冷化し、氷河期に入る

 1万2千年前といえば、最後の氷河期が終えた頃。つまり、氷河期の頃は太っていて、その後1万2千年かけてスリムになってきていた、というのだ。ところが、また近年太り始めているという。地球はこれまで、年間約7mmのペースでスリムになってきていたが、近年また約7mmずつほど膨張し始めているのだそうだ。(太る=膨張といっても、全体ではなく、横に広がって楕円状になるということ)

 記事では、「地球は最後の氷河期を終え、徐々にスリム化しながら温暖化していった。そして、温暖化が最も著しくなった近年、自浄作用で冷やし始めているのではないか。残念ながら、長い夏は終わりに向かっているのだ」と繋がっていく。(参照記事


突然、人類に襲い掛かる氷河期。

映画「デイ・アフター・トゥモロー」が現実に…

 つまり、地球が痩せていく時は温暖化していき、太り始めると寒冷化する。この周期は約1万2千年。最も痩せていた時期は温暖化の最高期。最も痩せていた時は氷河期の真っ只中ということがわかってきたのだという。そして、あの最後の氷河期が終えてから約1万2千年、今また地球はまた+7mm/年 ずつ太り始めてしまった。

【追記】地球が太る(膨張)理由は、一説には「寒冷化すると極(南極、北極)の氷が増え、その重みで地球がぎゅっと上下から押しつぶされる形になり、横に広がる」というのがあるらしい。検証は難しいと思うが、理屈としては理解できなくもない。

 このデータから見えてくるもの……それは、地球は再び氷河期に向かっている!ということではないのか?

 氷河期が訪れることを示唆するデータは、この他にもいくつも出てきている。

 地球温暖化信者によれば、温暖化の原因は、人間活動に起因するCO2=二酸化炭素によるものであるため、「CO2削減」しなければならないと言う。しかしながら、実は、このCO2濃度が高ければ高い程、氷河期を起こす誘因になるという説がある。

 しかしひとつ言えるのは、CO2濃度が高くても太陽熱(エネルギー)は少なくないと、そうはならないらしい。では、氷河期が訪れるための他の大きな誘因は何か?

 それは、太陽活動だ。

太陽活動が左右する地球の寒冷化

 実は今年2月、NASAは大規模な太陽フレアーが発生し、巨大な太陽嵐が地球を襲うと発表した。太陽嵐で電磁波が狂い、すべての機能をマヒさせると…。その根拠は、2008年から2010年暮れにかけて、黒点はほとんど現れず、2008年8月頃には100年に一度という太陽の黒点が全く無くなった月があったのだが、その後、黒点は増え始めた。そして、2013年には太陽活動の活発化とともに「スーパー・ストーム」が地球に到達すると予測していたからだ。(参照記事) 

 しかし、今年6月、米天文学会の総会で、黒点は増えるどころか、著しく減少し始めており、太陽は休止期に向かっているのではないかという、これまでとまったく逆の見解が示されたのだ。

 さらに、先日7/4にも「小氷河期はそこまで来ている?」と題した記事が、イギリスの新聞「デイリー・メイル」紙に掲載された。(参照記事

 ここ数年、冬場に異常な寒波に見舞われているイギリスをはじめとするヨーロッパ。この寒冷気候の原因は、やはり太陽黒点の活動にあると指摘する。また、2010年に開かれた気候学会で、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のメンバーでもあるドイツのキール大学ライプニッツ研究所は、太平洋と大西洋の水温自然循環を分析した結果、地球は寒冷期に入り、「小氷河期」状態であると発表している。

 ライプニッツ研究所は、温暖化で氷が解けているとされる北極圏では、実は2007年から氷結面積が約106万平方キロ増加したことを突き止め、これまでの「温暖化によって北極の氷が解けている」説とは全く逆の見解を示した。その上で20世紀初頭から2000年頃にかけては、たしかに地球は温暖化していたが、これはCO2排出量とは関係なく、海洋の深層海流である寒流と暖流の循環(流れ)に原因であると指摘した。そして現在は、その循環が逆の動きになっていることから、寒冷化が進むと見ている。(参照記事

 CO2濃度が高まっているこの時期に、太陽活動が弱まる。海流の循環にも変化が見られ、そして冒頭の1万2千年周期の地球の変化…………かくして、氷河期に入る準備は整った、というわけだ。

氷河期を遅らせる唯一の方法とは?

 すなわち、地球はこれから、冷えていく方向へ向かってまっしぐら!ということになる。どのみち、地球の自浄作用や変化の周期なんて、人間がどうにかできるわけはないのだが、唯一、氷河期が来るのを遅らすことができるとすれば、、

 それは、膨大なCO2をはじめとする温室効果ガスを排出すること。科学批判のサイトSkeptical Scienceの記事によれば、「1000ギガトンの排出が起きれば13万年氷河期を防ぐことがき、もし5000ギガトン排出されたとしたら、50万年遅らせる事ができる」という。

 つまり、氷河期にならないようにするための唯一の方法は、今叫ばれている「CO2削減」とはまったく逆の「CO2排出」しかも、膨大な量を!なのだ。「クリーンな空気。二酸化炭素を出しません」なんて言って原発作ってる場合じゃない。これが真実ならば、じゃんじゃんCO2を排出してくれる火力発電所を増やさねばならないくらいなのだ。じゃないと、地球はどんどん冷却化し、本格的な氷河期へ突入してしまう!

 しかしながら、そんな膨大な量を排出するのは到底無理な話。2008年度の世界全体のCO2排出量は295億トン(参照)、ギガの単位は10億だ。

 最後にダメ押しともいえるのが、次回やってくる氷河期はこれまでで最長になる可能性を秘めているということだ。先ほどの科学サイトは、数々のデータを基にした試算によると「今の状態、比較的弱い軌道強制力と長いCO2の寿命、両方を合わせ考えると、過去260万年、最長期間の氷河期になる可能性がある」としている。

 これだけでは氷河期突入の要因としてはイマイチな気も?という意見もあると思うが、オーストラリアの今冬の異常な寒さといい、北半球の極寒の冬といい、侮れない大きな気候変動が起こっていることはたしかだと思う。

 今夏の日本では「こんなに暑いのに、そんなはずはない!間違いなく温暖化だ」と思うかもしれないが、冬のことを思い出して欲しい。今年に入ってからも4月、いや北海道などでは5月に入っても雪が降り、寒さが厳しい『極寒』の長い冬ではなかったか?東日本大震災における被災者の人々は、その極寒の中耐えたのではなかったのか?

 つまり、『極寒』の長い冬と『酷暑』の比較的短い夏となり、気候が極端化しているだけ。温暖化ではなく、気候変動。しかも大きなうねりの中に今、入ってしまったのかもしれない。(このブログでもそんなことを書いてますね…)

【参考サイト】

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

カカドゥから、日本そして東北を応援する力強いメッセージ

カカドゥのアボリジニ・グループが作った日本応援のマーク
標準

 先週末、先日ご紹介したクーンガラの世界遺産組入れのために渡仏していたクーンガラ地区の部族代表であるジェフリーはじめ、同カカドゥ地区に暮らすアボリジニ・グループの代表らがオーストラリアに戻ってきました。

 彼らのサイトでその報告を読んでいて、驚く発見をしたのです!

 ずっと小さなアイコンしか見えていなかったので、彼らの使っているマークに何と書かれているのか読み取れていなかったのですが、アボリジニのフラッグカラーを使ったそのマークの外側にあったのは……

頑張れ、日本

頑張れ、東北

カカドゥのアボリジニ・グループが作った日本応援のマーク※クリックでサイトに飛びます。

 なんと!驚くことに、彼らは自分たちを表すマーク=シンボル(象徴)に、日本応援のメッセージを刻み込んでくれていたのです。これを見つけた瞬間、胸がいっぱいになり、熱いものが込み上げて来たのは言うまでもありません。。(涙)

 横には、このマークに関する説明も書かれています。

 ”In sympathy and solidarity with the people of Japan change your social media profile image to this logo, which reads “Ganbare, Nihon. Ganbare, Tohoku.(Courage, Japan. Courage, Tohoku).”

 「日本の人々への共感(同情)と連帯の気持ちを込めて、ソーシャルメディアに表示される画像をこのロゴに変えました(あなたも変えようよ、と言っています)。これはこのように読みます。“ガンバレ、ニホン。ガンバレ、トウホク”」

 そして、最後に “頑張れ、日本。頑張れ、東北” の『頑張れ』意味を英語のCourageと説明しています。

 Courageは勇気とか度胸を意味する単語ですが、このCourageには、精神的な意味合いが強く、信念を貫くといった感じもあり、強いて意訳すれば「苦難や不幸な出来事にもくじけず、恐れずに立ち向かう勇気」と言えるのではないかと思います。

 苦難や不幸な出来事にもくじけず、恐れずに立ち向かう勇気を持って、頑張れ!

そんな意味合いを込めて、自分たちのシンボルに刻んでくれた「頑張れ、日本。頑張れ、東北」の文字。カカドゥのアボリジニの人々に、何度「ありがとう」を言っても足りないくらい、感謝の気持ちでいっぱいです。。

【関連コラム】

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

生活インフラ整備より、最古の森を守ることを選んだケープトリビュレーションの住民達

標準

 エコナビで連載中のコラム『自然と共存するオーストラリアの住まい』、Vol.5「世界遺産の豊かな森と共存する住民たち」がアップされました!

 今回取り上げているのは、先日、「オーストラリアNOW トラベル」の記事でもご紹介した、世界最古の熱帯雨林地区ケープトリビュレーションです。

 人間が社会生活をするのに必要な、電気や上下水道といった生活インフラはほとんど整備されていない、ほぼ陸の孤島状態ともいえる熱帯雨林の森の村々。世界遺産に指定され、観光客が増えたことで、ここ20年ほどで小規模の宿泊施設やレストランなども次々とできましたが、こうした状況は20年前とひとつも変わっていません。

 日本なら「世界遺産になったのだし、観光客もたくさん来るから、すぐにでも生活に必要不可欠な電気や上下水道などを整備してほしい」と地域住民たちが陳情書を提出して、地元の自治体がすぐさま快適な住環境を整備し、ますます観光化が進んでいくところでしょう。

 ですが、このエリアの人々は、それをしませんでした。ここの住民達は、自分たちが便利に暮らすための生活インフラ整備を要求するよりも、自分たちの努力で森を守ることを誇りにしているからです。

 では、実際にどんな暮らしぶりなのか?は、以下のリンクからどうぞ♪

★エコレポ Vol.5 「世界遺産の豊かな森と共存する住民たち

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。

日本こそ、世界一の地熱発電先進国に!

鹿児島・山川の地熱発電所
標準

 原発事故の収束がまったく見えてこない。人間が何でもコントロールできると思っていた人たちの、浅はかな知識が、まるで根拠のない架空のものであったと認識させられた今回の事故。自然の力を舐めていたのだとしか、言いようがない…。

 流れは『脱原発』→『自然エネルギー』へと注目されつつある。ただ、何度も色々なところで言っているが、一見すべてが素晴らしいように思える自然エネルギーも今はまだ完全ではなく、様々な角度から見ると問題が山積している。導入には、熟考が必要だ。

 特に風力発電については、風車が回る音などが周囲の生態系に及ぼす影響が大きく、たとえ海洋に作ったとしても周囲に生息していたイルカなどの大型海洋生物がいなくなったり、魚の種類が激減するなど、漁業へのダメージも指摘されている。また、日本では落雷による破損が多く、いまだに赤字だという。

 太陽光発電は音も出ず、周囲への影響はほとんどないのだが、発電効率の悪さと耐久性に不安が残る。各家庭ごとの導入は大いに推奨したいところだが、大型発電所となるとどうか、、という感じだ。

 そこで、火山国であり、数多くの温泉が噴出している日本だからこその地熱発電にもっと力を入れてみてはどうか?と思う。日本では、現在でも自家発電を含め、18ヶ所で地熱を利用した発電をしているそうだ。

鹿児島・山川の地熱発電所鹿児島・山川の地熱発電所

 発電効率からいえば、それほどのものではない…という人もいるかもしれないが、日本のあちらこちらで温泉が出るのだから、地域ごとであれば利用可能なのではないだろうか?現に、オーストラリアのような火山もなく、温泉もほとんど出ていないような国でも地熱発電を利用している地区があるのだから。

 地熱発電は、元々自然にあるもの、湧出している余剰の熱エネルギーを利用するのであるから、燃料は不要でCO2はほとんど出ないし、規模にもよるが、基本的に安定した発電量を得られるなど、環境にも優しく、ほぼいいことづくめなのだ。

 しかも、日本は地熱発電技術では世界トップを誇る。発電設備の世界シェア第1位は、富士電機システムズだそうだ。これだけ役者(? いや条件)が揃っているのに、力を入れないというのはいかがなものかと思ってしまう…。

 今だからこそ、地熱利用に再注目を!おそらく今考えられる、最もクリーンで効率的な発電方法だと思う。

About Me
Miki Hirano平野 美紀 
自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。詳細なプロフィールはこちら。
執筆依頼、取材代行、メディア・コーディネート等、承ります。お気軽にお問い合わせください。